過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
1- 20
379:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:13:06.83 ID:EmuY6hvN0
――角。

角だった。水牛の角のように尖り、先端は獲物を串刺しに出来るかのごとく、鋭い輝きを発していた。
頭を振り、大男はまた腕を振りかぶった。
そしてためらいもなくドクの頭に爪を突き刺そうとして……。
以下略



380:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:19:01.48 ID:EmuY6hvN0
「よかった……」

「ルルルル……」

「ちゃんと……変身、できたね……」
以下略



381:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:19:27.48 ID:EmuY6hvN0
痛みと命が薄れていく感覚の中、ニッコリと。
少女は異形と化した夫の顔に向かって微笑んでみせた。軽く首を傾げ、目を細める。

「あなたは…………前に、こう、聞いたことがあったね……」

以下略



382:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:19:59.55 ID:EmuY6hvN0
「私も聞くね…………」

「…………」

「これで……私のこと…………」
以下略



383:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:20:28.87 ID:EmuY6hvN0
一秒経ち。
二秒経ち。
阿鼻叫喚と、警報が鳴り響く空の中。
唖然としているドクと、微笑む妻の前で。
呆然とし、停止し、そして泣きそうに顔を歪めて。
以下略



384:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:21:00.55 ID:EmuY6hvN0
ガタガタガタガタと周囲の家具や壁……いや、空間それ自体が怪物の体中から噴出する白い煙の圧力に押されて、振動し始める。空気の粒子から震えているようだった。
夫の雄たけびを聞き、その叫び声が途切れた後。カランは疲れきった顔で嬉しそうに目を閉じた。

「ちょっと……寝るね…………」

以下略



385:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:21:34.63 ID:EmuY6hvN0


 ルケンが市街地に入ったのは、トレーラーの格納庫で大惨事を起こしてから、一時間も経たないでのことだった。血液と内臓、そして汚水でズブ濡れの格好のまま、ポケットに手を突っ込んでニヤニヤしながら道路を踏み閉め、歩く。
齢十二歳前後の彼は、右手でズルズルとずた袋のようなものを引きずっていた。
若い女性の……いや、人間だったものの死骸だった。髪を掴んで無造作に、殆どミンチとなったそれを引き、地面に黒いシミを後びかせていく。
以下略



386:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:22:14.42 ID:EmuY6hvN0
パン、パンと笑いながら手を叩き、少年は悠然と歩くと、道の脇で腰を抜かしていた五歳程度の女児の前で立ち止まった。この騒乱の中、親とはぐれてしまったらしい。目を飛び出しそうなまでに見開いて、口をわななかせている。
それに向かって何のためらいもなく広げた手を伸ばし……。

次の瞬間、ルケンは猫のような動作で反射的に。

以下略



387:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:22:46.75 ID:EmuY6hvN0
いつの間にか、顔面が蒼白になっていた。
それは反応。
そう、紛れもない単純な反応だった。
心臓が破裂するのではないかというくらい激しく脈動していた。
それはルケンにとって、産まれて初めて感じたモノだった。
以下略



388:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:23:15.30 ID:EmuY6hvN0
鳥肌が立っていた。
何が起こったのか、分からなかった。
気づいた時にはもう遅かった。
何の気配も感じさせずに。
いきなりルケンは、後頭部を何か金属質のモノに鷲掴みにされた。
以下略



979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice