過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
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381:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:19:27.48 ID:EmuY6hvN0
痛みと命が薄れていく感覚の中、ニッコリと。
少女は異形と化した夫の顔に向かって微笑んでみせた。軽く首を傾げ、目を細める。

「あなたは…………前に、こう、聞いたことがあったね……」

以下略



382:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:19:59.55 ID:EmuY6hvN0
「私も聞くね…………」

「…………」

「これで……私のこと…………」
以下略



383:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:20:28.87 ID:EmuY6hvN0
一秒経ち。
二秒経ち。
阿鼻叫喚と、警報が鳴り響く空の中。
唖然としているドクと、微笑む妻の前で。
呆然とし、停止し、そして泣きそうに顔を歪めて。
以下略



384:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:21:00.55 ID:EmuY6hvN0
ガタガタガタガタと周囲の家具や壁……いや、空間それ自体が怪物の体中から噴出する白い煙の圧力に押されて、振動し始める。空気の粒子から震えているようだった。
夫の雄たけびを聞き、その叫び声が途切れた後。カランは疲れきった顔で嬉しそうに目を閉じた。

「ちょっと……寝るね…………」

以下略



385:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:21:34.63 ID:EmuY6hvN0


 ルケンが市街地に入ったのは、トレーラーの格納庫で大惨事を起こしてから、一時間も経たないでのことだった。血液と内臓、そして汚水でズブ濡れの格好のまま、ポケットに手を突っ込んでニヤニヤしながら道路を踏み閉め、歩く。
齢十二歳前後の彼は、右手でズルズルとずた袋のようなものを引きずっていた。
若い女性の……いや、人間だったものの死骸だった。髪を掴んで無造作に、殆どミンチとなったそれを引き、地面に黒いシミを後びかせていく。
以下略



386:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:22:14.42 ID:EmuY6hvN0
パン、パンと笑いながら手を叩き、少年は悠然と歩くと、道の脇で腰を抜かしていた五歳程度の女児の前で立ち止まった。この騒乱の中、親とはぐれてしまったらしい。目を飛び出しそうなまでに見開いて、口をわななかせている。
それに向かって何のためらいもなく広げた手を伸ばし……。

次の瞬間、ルケンは猫のような動作で反射的に。

以下略



387:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:22:46.75 ID:EmuY6hvN0
いつの間にか、顔面が蒼白になっていた。
それは反応。
そう、紛れもない単純な反応だった。
心臓が破裂するのではないかというくらい激しく脈動していた。
それはルケンにとって、産まれて初めて感じたモノだった。
以下略



388:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:23:15.30 ID:EmuY6hvN0
鳥肌が立っていた。
何が起こったのか、分からなかった。
気づいた時にはもう遅かった。
何の気配も感じさせずに。
いきなりルケンは、後頭部を何か金属質のモノに鷲掴みにされた。
以下略



389:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:23:51.78 ID:EmuY6hvN0
予想外のその事実により固まってしまったのは、大きかった。
万力のような力で後頭部を締め付けられ、次いで首のみを支えにして小柄な少年の体が軽々と一メートル以上も持ち上げられた。
抵抗しようとした途端。
背後に立ったその『人物』は、ルケンを掴んだまま、腰を曲げて野獣のように跳躍した。エンジン。それを連想させる白く、悪臭を孕んだ水蒸気を体中から噴出させながら。
ゼマルディはその巨体ごとルケンを押さえつけ。
以下略



390:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:28:35.89 ID:EmuY6hvN0
お疲れ様でした。今日の投稿はここまでになります。

毎回お付き合いいただいて、ありがとうございます。

寒いですが、皆様も体調を崩さないようお気をつけくださいね。
以下略



391:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/16(木) 20:04:25.14 ID:Z6fjuYRs0
こんばんは。12話の投稿をさせていただきます。


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