587:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:00:01.57 ID:WO2eriwB0
「どうして、あいつ生きてる? 師匠、あいつ、ドーム外捨てた言ってた。嘘か?」
「ごめんなさい……ごめんなさい爪……」
「泣いてる分からない。詳しく、説明欲しい」
588:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:00:48.39 ID:WO2eriwB0
「どうして! どうして殺さなかった! 俺、騙してた? 何で? 何で!」
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
愛寡が激しく揺らされながらくぐもった声を上げる。
589:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:01:29.34 ID:WO2eriwB0
「離れろルケン! 聖上から離れろ!」
浮屋が、彼に右手を向けて怒鳴る。
「聖上、先ほどの街での事故は、こやつが引き起こしたことであることが判明しました。即刻捕縛します」
590:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:02:09.98 ID:WO2eriwB0
それが、致命的だった。
瞳を真っ赤に発光させた爪が、ゆらりと立ち上がって浮屋を睨む。
「レルレラル・オレアス・ラルラレロレラルヲ(俺に鉄を向けるか、下賎な民め)」
591:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:03:00.20 ID:WO2eriwB0
一拍遅れて、爪に銃を向けていた警備員全員が、
まるで列車に轢かれたかのように後方に向かって吹き飛んだ。
浮屋の体も浮き上がり、そして壁に激突する寸前。
592:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:03:58.36 ID:WO2eriwB0
窓ガラスにぶち当たりかけていた警備員達が、ドサドサと鈍重な音を立てて床に崩れ落ちる。
ルケンが振り下ろしかけていた手は、浮屋を庇うように立っていた愛寡の顔面寸前で止まっていた。
「師匠……」
593:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:04:38.00 ID:WO2eriwB0
彼らを瞳孔が拡散した赤い瞳で見回し、愛寡は呟くように言った。
「爪は、不問。だけど、次はないわ。いいわね?」
その重い響きに、浮屋が起き上がり、そして深く息をついて、何かを言いかけた。
594:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:05:22.55 ID:WO2eriwB0
「師匠……はたいた。俺、はたかれた……?」
呆然として呟く。
次いで、爪は小刻みに震え始めた。
595:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:05:56.00 ID:WO2eriwB0
「…………」
「怒られるだけ、幸せ。そう思いなさい」
「俺……嫌われた? 俺、我侭言った。嫌われたか?」
596:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:08:59.39 ID:WO2eriwB0
*
手を伸ばした。
その手は空を切り、そして虚しく中空を掻いた。
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