648:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:07:15.83 ID:mkVHEDB80
いや、自分の体だけは何かに照らされているかのようにハッキリと見える。
不思議な感覚だった。
そこで彼女は、背後に人間の気配を感じ、慌てて振り返った。
649:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:07:59.89 ID:mkVHEDB80
穏やかに呼びかけられ、燐は何度かしゃっくりのような声を上げた後、
黒い空間――何故か全く寒くなく、適温に保たれているそこの中で男に言った。
「里を、里をどうするつもりですの?」
650:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:08:39.53 ID:mkVHEDB80
今まで何もなかった空間に、不意に厚手のソファーが浮かび上がった。
その脇には冷蔵庫、そして湯気を立てているコーヒーのバリスタが見える。
どこかの家庭内の一室であるかのような、そんなアットホームな感覚がしだす。
651:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:09:16.59 ID:mkVHEDB80
そして椅子を鳴らし、燐の方に体を向ける。
「接続ガ変わるト、記憶領域ノバックアップができナイ」
「あ……私……私、燐と言います。あなたは……?
652:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:09:49.72 ID:mkVHEDB80
功刀はバリスタの方に歩いていくと、
コーヒーカップに中身を空けた。
そして口に運ぶ。
653:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:10:34.08 ID:mkVHEDB80
自分がジェンダから来た、ということをもし真っ正直に言ったとして。
もし、この人が魔法使いか、信教の人だったら……。
自分と、更紗の関係を探り当ててしまうかもしれない。
654:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:11:11.37 ID:mkVHEDB80
「どうして……どうして、それを……」
「『更紗』とイウ名前に、心当たりハナイカ?」
問いかけられ、燐は青くなって首を振った。
655:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:11:50.32 ID:mkVHEDB80
「エンドゥラハンに襲われてタ、アンタ達を助けタ。
そこのアンドロイドは、記憶領域ヲ別のハードディスクに入れ替えル作業をしてる。
礼くらい言ったラどうダ?」
「あ……そ、そうでしたの……ありがとう、ございます……」
656:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:12:30.24 ID:mkVHEDB80
立ち上がりかけた彼女を手で制止して、
功刀はパチンと指を鳴らした。
床にぶちまけられたコーヒーと、割れたカップがヘドロのようになって消える。
657:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 17:13:05.71 ID:mkVHEDB80
「そう思われテタのカ」
「…………」
「まぁイイ。第一、姉さんノ眷属ヲどうこうスルつもりハナイ」
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。