17:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:26:59.28 ID:n3CjMYIK0
なめした黒革のソファーに深く身体を預け、影法師がブランデーグラスを掌で暖める。異様な風体だ。
黒ずくめの外套を頭から被せて、全身を隠している。
影法師がもう一つのグラスに琥珀色の液体をなみなみと注ぐと、カン・ユーに手渡す。
グラスを黙って受け取ると、カン・ユーがブランデーを胃の臓腑に流し込んだ。
18:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:27:47.19 ID:n3CjMYIK0
激しい熱気がバトリングドームを包んだ。絶叫、怒号、声援、あらゆる叫びがドーム内で反響した。
観客達のギラつく視線が、頭上に高々と上がったパネルの文字にに絡みつく。
「負けるなっ、コブラッ」
「やっちまえっ、ガーランドッ!」
19:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:28:31.99 ID:n3CjMYIK0
「コブラに三千ギルダンだっ!」
「サラマンダーに五千ギルダンっ!」
「こっちはコブラに八千ギルダンだっ!」
「俺はサラマンダーに全財産賭けるぞっ!」
「それなら俺もコブラに全財産賭けてやるぜっ!」
20:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:29:19.86 ID:n3CjMYIK0
カン・ユーは動く標的を見極めようと目を凝らした。コブラがカン・ユーを巧みに掻き乱す。
鼓膜を打つ甲高い衝撃音──カン・ユーの右頬を粘つく血が伝った。こめかみに浮かぶ血管が脈動した。
体内で過剰に分泌されるアドレナリン──沸騰する血液。カン・ユーの身体が火照った。熱い。なんて熱さだ。
21:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:29:50.56 ID:n3CjMYIK0
キリコの放ったバハウザーの銃弾をかわし、クリスタルボーイは獲物へと迫った。クリスタルボーイに飛び掛るル・シャッコ。
「邪魔をするな」
クリスタルボーイが右腕を振り払うように薙いだ。シャッコの巨体が壁に激突する。激しい衝撃にシャッコは昏倒した。
「シャッコッ」
22:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:30:16.21 ID:n3CjMYIK0
酔漢やホステスでごった返す路地を通り抜け、ごみごみした雑居ビルとケバケバしいピンクのネオンに囲まれた酒場<カサブランカ>に四人が入った。
タバコの煙と安物の香水の匂いが充満する店内──端にある一番奥まったテーブル席に四人は座った。
「コブラ、あの化け物は一体何者だ」
最初に口を開いたのは、ル・シャッコだった。
23:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:31:23.93 ID:n3CjMYIK0
「仕事が上がったら逢いましょう。そこに名前と連絡先を書いておいたから」
「お、いいね。それじゃあ、店が終わったら、ふたりでどっか感じのいい場所にでもいこうか」
「期待してるわ」
コブラの頬にキスマークをつけると、ホステスが四人のテーブルから去っていく。
24:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:32:07.37 ID:n3CjMYIK0
もっと搾り出してくれよとあんたがあたしにいうの
あんたからレモンの果汁を搾り出して、それからソーセージをあたしのパンに挟んだ
鍋のスープがことこと煮えてるわ 痩せた女の鶏がらスープね
25:S・エルロイ
2012/06/30(土) 22:34:10.74 ID:n3CjMYIK0
投下終了
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]
2012/06/30(土) 22:56:24.15 ID:WvvWuWOAO
乙
なんというか……濃いな
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/06/30(土) 22:58:09.04 ID:Zef+TgRSo
乙
コブラとか俺得
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