過去ログ - 女「ちょwww私の脊髄とるのwwwwwやめwwww痛いwwww」
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1: ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:08:51.14 ID:+rsVUWK9o
【ご注意】

このSSは残酷な表現、不快な描写を多く含んでいます。
また、ほぼ地の文で構成されており、非常に回りくどい文章を多用しています。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:10:05.89 ID:+rsVUWK9o
 -T-

  ようビッチ、快適かい? そうは思えないけどね。手首と踝《くるぶし》が鎖で繋がれてる。
  猿轡《さるぐつわ》も。恐らく目隠しで目も見えないだろう。混乱してて、
  怖がってるのが分かるよ。こんな状況じゃあ、それが全く普通だ。(中略)今、君は
以下略



3:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:10:49.46 ID:+rsVUWK9o
ぼくは全身を叩く空の体液に打ち震えながらしきりに顔を洗うようにしていると、
不意に左手を掴まれる。その手は温かくむしろ熱くさえある。ぼくの手は始めしっかりと
両の手で拳を作るよう握り締められ、それから親指から小指へと一本一本ゆっくりと
引き剥がされて大きく開かれたかと思うと、最後に掌《てのひら》の真ん中にぬるぬるした
硬い物を置かれる。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]
2012/08/19(日) 02:10:53.12 ID:000G1kEAO
シンさんかよ


5:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:11:48.08 ID:+rsVUWK9o
ようやく袖で目蓋を擦りぼくはぼくの世界を取り戻すと、生き長らえるための液体を
全て流し尽くした逢魔ヶ時は既に絶命しており、紺色の空は腐って黒ずみだしている。
ぼくは自らの体臭と世界の天蓋たる弩円の腐臭を掻き混ぜて濁らせた臭いを漂わせながら、
身体を引き摺るように家路に就くその道すがらで、掌の異物を確認する。

以下略



6:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:12:18.13 ID:+rsVUWK9o
あれの意識、言語を介さず伝達された思考がぼくの頭を過《よ》ぎる。

“相手と心と自分の心を繋ぐ方法は、手ずから苦痛を共有することでしかあり得ない。
 痛みを食《は》んだことの無い者と痛みの味を分かり合うことは出来ない。

以下略



7:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:12:50.34 ID:+rsVUWK9o
“人の言葉は主観的な感覚の、その上辺をそっと撫でるだけの不完全な道具でしか無い。
 ヒトは言葉を絶対視し過ぎた。そこに神が在ると思い込んでいたからだ。しかし所詮、
 恣意的な記号《シニフィアン》 の寄せ集めでは、真の意味で苦痛は共有され得ない。

 暴力が法という力に駆逐されかけている現代、 最早、苦衷《くちゅう》は
以下略



8:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:13:23.55 ID:+rsVUWK9o
 -U-


風呂を出ると、明りを消された食卓の上にぼくが惣菜店で買ってきた夕食が載っている。
大きな芝海老がたっぷり入ったエビチリが自分で炊いた白いご飯と一緒に置かれている。
以下略



9:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:14:24.55 ID:+rsVUWK9o
ぼくは大きな皿を一番下に、それからかちゃり、かちゃり順々に皿を積み上げ流しに持ってゆくと、
シンクの底に置いて水道の蛇口を捻る。使い古され黒ずんでいる筈だがそれ以上に暗い台所のせいで
輪郭しか見えないスポンジに液体洗剤をたっぷりとかけ、水で充分に泡立てる。
流水でこびり付いた残り滓を軽く取り除き、スポンジで撫で回すと、
再び流水にかけて泡を奇麗に排水溝へと捨てて、何度も水を切ってから、
以下略



10:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI
2012/08/19(日) 02:15:19.43 ID:+rsVUWK9o
作新学院野球部員を強盗容疑で逮捕、新潟県刑事課長が摘発件数を水増し、
オスプレイ墜落調査について米が「機体に問題は無かった」との最終報告、
お笑いコンビ・ピースの綾部祐二が熱愛騒動について謝罪。

リモコンをソファに放り投げ居間から出ようとした時ニュースが切り替わり、
以下略



11:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:16:14.67 ID:+rsVUWK9o
ぼくはようやく、どけと言ったのが聞こえなかったのか、
というぼくの父親の声をノイズ越し理解する。
父親は手に酒瓶を持っている。どけと言ったのが聞こえなかったのか。
丸く蹲《うずくま》る格好で起き上がろうとするぼくの身体を彼の足が踏みつける。

以下略



12:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:17:41.61 ID:+rsVUWK9o
都立『明るい動物園』の象の赤ちゃんにスポットを当ててお送りします。
これまで繁殖が難しいとされてきた象ですが、薬物利用により安定した繁殖及び管理が見込まれ、
絶滅危惧IB類にカテゴライズされたゾウ目に明るい見解が広まっています。


13:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:18:54.21 ID:+rsVUWK9o
ぼくは冷蔵庫に頭を突っ込むぼくの父親に悟られないように、素人が操るパペットになって
かくかくとした動きをしながら居間から出て行くと、急勾配の階段の踏み台に一つひとつ
身体を預けながら、さながら蝸牛《かたつむり》か、それとも激戦地で劣化ウラン弾を
匍匐前進でかいくぐる歩兵か何かのようにゆっくりと二階へ上ってゆく。

以下略



14:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:20:11.70 ID:+rsVUWK9o
ぼくは自分が気絶していたことに気付く。しかし精神の底に落ちる一瞬に覚えるあの闇よりも
暗いどす黒い空間が、それでもまだぼくを包んでいる。知らない内に部屋の扉は硬く閉ざされ
一筋の光さえ漏らしていない。

ぼくはぎこちなく起き上がり、立ち上がってふらふらと学習机まで移動すると、
以下略



15:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:21:05.02 ID:+rsVUWK9o
ぼくはコマ送り状の動作で屈み床に血をじょろじょろ零しつつPCの電源を指で押す。
HDDが回転しぶつぶつと呟いたかと思うとディスプレイにOSのロゴが現れデスクトップ画面が
立ち上がり、黒い気体が充満する部屋に淡い光をもたらす。

左手でトラックボールを転がしてディスプレイの矢印をブラウザのショートカットアイコン上で
以下略



16:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:21:35.21 ID:+rsVUWK9o
今度は誰の足元に、その闇から流れて来た真っ赤な血が辿りつくのか、
一部の仮想空間の住民の関心はそこへ流れ、また別の人間は犯人像をプロファイルし、
さらに他の名無しは殺人犯を崇めたり或いは貶めたりし、
ついで意味不明な言葉を綴る者がおり、ほんの数人が犯人らしき男を目撃したと言って、
ひとり自分が犯人だと主張する羊がいる。
以下略



17:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:22:06.50 ID:+rsVUWK9o
ぼくの頭部が机の上にどさっと無造作に置かれる。横を見ると軸椎の細かな隆起が目に入る。
まず最初に切断された右足親指の神経から、結果的にショック症状を引き起こし死に至った
胸部切開後穴を空けられた片肺の神経、それら大小あらゆる神経繊維を脳幹へ繋留する頸髄を保護する
大匙《さじ》のスプーンに収まるくらいの小さな硬い骨。

以下略



18:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:22:59.98 ID:+rsVUWK9o
上体にぶちまけられる、あの感覚、そして、

安寧な日常に叩き割られて極大の混乱が押し寄せたら、

鼻と口から食べ物を――出し切ったら胃酸を――出すのよね、それに、
以下略



19:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:23:30.46 ID:+rsVUWK9o
 -V-


靄《もや》のかかった群青《ぐんじょう》色のカーテンが明るい光に照らされている。

以下略



20:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:24:06.34 ID:+rsVUWK9o
ぼくは一番下の抽斗から黒一色のトランクスと濃い灰色の靴下を出す。

右足左足の順番で靴下を穿いた後にパンツに足を突っ込んで臍《へそ》の下まで引き上げる。
箪笥のすぐ横にある鉄製の洋服ラックに吊されたズボンとYシャツ、ブレザーをハンガーごと
床にぶちまけると、ぼくは身体を捩《よじ》りながら衣服を着るという連続した作業を幾度も
以下略



21:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:24:39.16 ID:+rsVUWK9o
居間からは光が漏れ、点けっぱなしになっているテレビの派手な色相が陽光と暗黒の間で混じりあい
狂乱している。足裏で廊下をさすりそっと居間に近づき、その木製の軽いノブをかちゃりと回す。
ドアがきいと呻《うめ》いてゆっくり開くと、ぼくはすぐに台所に目を遣る。

誰もいない。
以下略



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