99:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:35:06.82 ID:bOaug2Ec0
「ボール投げなら僕決してはずさない。」
男の子が大威張りで言った。
100:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:39:11.87 ID:bOaug2Ec0
男がこらえ兼ねて言った。
男「おれたちと一緒に乗って行こう。おれたちどこまでだって行ける切符を持ってるんだ。」
101:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:41:25.79 ID:bOaug2Ec0
「天上はいいところよ。
だっておっ母さんも行ってらっしゃるしそれに神さまが仰っしゃるんだわ。」
男「そんな神さまうその神さまだ。」
102:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:44:14.96 ID:bOaug2Ec0
青年「そうかも知れませんね。
わたくしはあなた方がいまにその中の一人、神さまの前にわたくしたちとお会いになることを祈ります。」
青年はつつましく両手を組んだ。女の子もちょうどその通りにした。
103:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:46:28.37 ID:bOaug2Ec0
「ハルレヤハルレヤ。」
明るくたのしくみんなの声はひびき、みんなはそのそらの遠くからつめたいそらの遠くから、
すきとおった何とも言えずさわやかなラッパの声をきいた。
104:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:47:49.77 ID:bOaug2Ec0
女の子はいかにもつらそうに眼を大きくして、もう一度こっちをふりかえってそれからあとはもうだまって出て行ってしまった。
汽車の中はもう半分以上も空いてしまい、にわかにがらんとしてさびしくなり、風がいっぱいに吹き込んだ。
そして見ているとみんなはつつましく列を組んで、あの十字架の前の天の川のなぎさにひざまずいていた。
105:ピカチュウは賢治が考えた説↑ ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:50:22.52 ID:bOaug2Ec0
そのときすうっと霧がはれかかった。
どこかへ行く街道らしく小さな電燈の一列についた通りがあった。
それはしばらく線路に沿って進んでいた。
106:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:52:42.34 ID:bOaug2Ec0
男はああと深く息をした。
男「女、おれはもうあのさそりのように、ほんとうにみんなの幸のためなら、
おれのからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
107:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:54:31.01 ID:bOaug2Ec0
男「なんでだよ。」
女「この汽車に乗ることになったのは、たぶん私への報いだから。」
108:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:56:05.41 ID:bOaug2Ec0
十一、ザネリの切符
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