13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:11:56.16 ID:i6e9y6l20
予想だにしなかった出来事に、私は「忙しいので」と断ることはできなかった。
それで図書室の閉まる五時までという約束で、私はカウンター作業に徹することになって。
そんな中、私はどうしても放ってはおけないものを見つけてしまったのだ。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:12:38.62 ID:i6e9y6l20
約束の時間になって、私は重くはない鞄と共に大量の本を抱えて図書室を出た。
先に書庫に寄りだいたいの本を返したあと、何冊かの本をもう一度持ち直して教室へ向かった。最後の教室に入ったときだった。
バタンッ、バタンッ
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:13:52.64 ID:i6e9y6l20
目を合わさなければ、声はおぼろげにしか聞こえてこない。
この鳥はなにかを言っているようだった。鳴いていた。私は知らない振りをした。
それでも、だめだった。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:14:47.79 ID:i6e9y6l20
今思えば教室にある箒でもよかった。けれどそのときは気持ちが急いていて、折り畳み傘を伸ばし、太い枝を叩くことしかできなかった。
最初は弱く、それではまったく意味がないと悟ってからはだんだんと強く。
ガサガサと騒がしく揺れる葉と、同じようにして揺れ動く小鳥のからだがすいっと挟まれていた枝々から抜け出したのは何分そうして格闘していたかわからなくなる頃だった。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:15:24.65 ID:i6e9y6l20
―――――
―――――
学校を出ると、携帯には一件だけ着信が入っていた。お姉ちゃんだ。そういえば、今日の晩御飯の当番は私だった。
下駄箱で靴を履き替えながら携帯を閉じて、私は躊躇う間もなく昇降口を出た。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:15:57.88 ID:i6e9y6l20
犬だ。
一歩踏み出しかけて、頭を振る。今日はこんなことばかりだ、と思う。嫌な予感がした。
せっかく息切れがおさまってきた身体を、私は無理に走らせた。
できるだけ公園の脇でへたりこむようにしている犬を気にしないように通り過ぎて――
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/30(木) 23:18:06.85 ID:i6e9y6l20
今日は以上
それではまた
>>10
できるだけ読みやすいようにしているつもりですがやはり読みづらいでしょうか
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/09/02(日) 19:25:16.98 ID:vKHLHb/h0
「は?」と声に出して、思わず固まる。
確かにはっきりと聞こえたその声は明らかに目の前で尻尾と耳を垂れているこの犬のもので。
妹「お恵みって、なに……」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/09/02(日) 19:25:44.16 ID:vKHLHb/h0
なんだか、圧倒される。
犬はじりじりと私に近付いてきて、さっきまで垂れ下がっていた耳はぴんとして、その尻尾はふらふらと揺れている。
妹「でも、本当になにも持ってな……って、ちょっと!」
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/09/02(日) 19:26:35.03 ID:vKHLHb/h0
妹「あ、やめなさいって!」
がさごそと尻尾を振りながら私の鞄を漁る犬をなんとか止めようと立ち上がるも、既に遅かったらしい。
鞄の狭い口から顔を出した犬は、なにかをくわえていた。中身はきっとぐちゃぐちゃになっているに違いない。
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