932: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:43:27.15 ID:eVP4bQtW0
奉太郎「なるほど、それで話し合いの末に決まったのは……」
える「ええ、私です」
える「……当然と言えば、当然だったのかもしれません」
933: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:44:04.11 ID:eVP4bQtW0
千反田が時間が無いと言っていたのも、意味深に花言葉の話を出したのも。
スイートピーの花言葉は、別離。
934: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:44:44.70 ID:eVP4bQtW0
奉太郎「……」
千反田は、ちょくちょく俺の方を向くと笑顔になっていた。
それがどうしようも無く辛く見え、しかし俺には声を掛ける事さえできなかった。
935: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:45:11.84 ID:eVP4bQtW0
える「私も、好きです」
える「折木さんの事が、好きです」
える「他の女性の方と遊んでいるのを見るだけで嫉妬しちゃうくらいに、好きです」
936: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:45:43.35 ID:eVP4bQtW0
奉太郎「……雪、降ってきたな」
える「……ええ、そうですね」
奉太郎「……寒いな」
937: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:46:12.41 ID:eVP4bQtW0
いや、今までよりももっと、近くにあって。
そのまま……千反田は俺の唇に、自分の唇を重ねていた。
実際にはとても短い間だったのかもしれないが、俺にはそれがとても長く感じた。
938: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:46:58.45 ID:eVP4bQtW0
……だが、状況は最悪を極めていた。
何が最悪なのかと言うと……
俺はここ数年、自分でもいつからかは分からないが、モットーを掲げてきていた。
939: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:47:26.23 ID:eVP4bQtW0
千反田はそう言い、ベンチから腰を上げる。
俺もそれにつられ、腰を上げた。
公園を出て、千反田は再び俺の方に振り向く。
940: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:47:56.37 ID:eVP4bQtW0
……そうか、俺は本当に、どうしようもない馬鹿だ。
なんで、なんでそんな簡単な事も分からなかったのだろう。
俺は今まで、何をしてきたんだ。
941: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:48:25.45 ID:eVP4bQtW0
俺はもう一度、先ほどのベンチに腰を掛けた。
泣くなよ、全部終わっただけではないか。
そうだ、これこそが省エネではないか。
942: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 13:49:14.23 ID:eVP4bQtW0
無くなった、だけではないか。
そう思い、瞼を一瞬強く下ろした。
再び目を開けた俺に見えたのは、どこまでも灰色で……地球の果てまで行っても灰色しかなさそうな、世界だった。
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