2: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 13:09:45.26 ID:gRXqkQQAO
 いつも利用している電車には  
 黒い髪をショートボブでそろえた女の子が乗っている 
 おとなしめで、物静かな子だ  
 周りの制服から推測するに、彼女もまた近所にある学校の生徒だろう 
 周囲が友人などとめいめいだべっている中彼女だけ一人、本を読んでいた。 
3: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 13:16:26.44 ID:gRXqkQQAO
 ――― 
  
 今日も彼女は一人で本を読んでいる  
 相変わらずブックカバーがされていて何を読んでいるのかわからない  
 しかしその薄桃色の唇をたどたどしく動かしているのを見ると、その本はおおよそ趣味関連のそれではあるまい  
4: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 13:19:41.97 ID:gRXqkQQAO
 ――― 
  
 晩夏の夕暮れというものは、得てしてもの悲しいものだ  
 朱い光はものを柔らかく照らす  
 そしてあれよあれよというまに薄闇に飲まれ、遂には消えてしまうのだ  
5: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 13:25:45.53 ID:gRXqkQQAO
 ――― 
  
 今日は金曜なので学校は早くに上がることにした  
 時は金なり。早く家に帰って取り溜めた番組を観なくては。  
 流れるように下駄箱へ直行。  
6: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 13:28:06.52 ID:gRXqkQQAO
 ――― 
  
 エラく顔が火照っている気がした。体がだるいかもしれない。  
 クーラーの温度を上げ、カーテンを開けて西日を取り込む。  
 疾うに南中を越えた太陽は、秋分に備えて引っ込みを早めたらしい。  
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/11(火) 13:29:12.10 ID:gRXqkQQAO
 少し切ります 
8: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 13:54:18.17 ID:gRXqkQQAO
 ――― 
  
 せっかくの日曜だというのに早起きをしてしまった  
 休みは基本遅くまで寝ているのが常なのだが、昨日の早寝が災いしたようだ  
 一晩寝たらある程度のもやもやは吹き飛んだし、体も楽にはなった  
9: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 14:00:37.16 ID:gRXqkQQAO
 大きな建物が見えた。私の町の隣にある町の大型複合商業施設だ。  
 日曜の開店は早いらしかった。 
  
 ショッピングモールを一人でうろつく女子学生というのもなかなか周囲には奇異に映るだろうか  
 ちらりとそう思ったが、地元を離れているという緊張感と、先の雑念の痕が故に気にしている余裕はなかった。  
10: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 14:17:28.76 ID:gRXqkQQAO
 冷凍食品の無事を気遣いつつバスを待っていると、不意に肩を叩かれた。  
 体が少し跳て、後ろを振り向くと  
  
 彼女がいた。  
  
11: ◆uCwA0MUuYI[sage]
2012/12/11(火) 14:25:46.51 ID:gRXqkQQAO
 ――― 
  
 今日からと言うもの、足取りも気分も最高に軽い物だった  
 苦もなく早起きはできるし、寝起きのテンションも段違いだった。 
 なんだって、キリカと話をすることができたのだから。  
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