214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:40:45.76 ID:6lUXOLOBo
あたしが麻紀おばさんを訪ねたことは理由のないことではなかった。自分の世界が完全
に崩壊してしまったことを理解した今、どういうわけかあたしは今までよりも冷静にいろ
いろと考えることができた。そう、まるでそっち系のドラッグを静注した後のように意識
が澄み渡っていた。パパの真意を完全に理解したことに対して、ショックを受けたことに
215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:41:30.21 ID:6lUXOLOBo
あたしは奈緒の綺麗な彩りのお弁当がうらやましかった。一緒にお昼ご飯を食べている
ときにあたしは奈緒に自分の昼食についての不満を漏らしたことがあった。
今でもよく覚えているのだけれど、そのとき奈緒は知り合って初めて笑ったのだ。
216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:42:50.98 ID:6lUXOLOBo
「・・・・・・・あたしママなんて嫌い」
俯いたままで奈緒が言った。
217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:43:23.72 ID:6lUXOLOBo
「じゃあ、ユキちゃんもうちで奈緒と一緒にピアノを勉強しない? おばさんが教えてあ
げる」
知り合ってから初めてといっていいくらいに、おばさんの言葉を聞いた奈緒が期待を込
218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:45:19.31 ID:6lUXOLOBo
中等部に入ってからのあたしと奈緒のコンクールの成績は対等だった。
中学生になる前のあたしは技術的に言えば全く奈緒には敵わなかった。奈緒の指は魔法
のようだった。テンポが早く難易度の高い変拍子のアルペディオだって、まるで世界的に
219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 22:46:09.66 ID:6lUXOLOBo
「お待たせ」
麻紀おばさんが紅茶とお菓子の乗ったトレイを持ってリビングに戻ってきた。
220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/30(木) 22:47:26.13 ID:6lUXOLOBo
今日は以上です
しばらくはきりのいいとい頃までこちらを更新しようと思います
221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/31(金) 20:07:09.31 ID:vfQi09XDO
乙。。。。相変わらず続きが怖い
222:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 23:08:47.16 ID:Da4jKH6wo
「太田先生、あなたに話しちゃったの?」
麻紀おばさんは驚いた様子だったけどそれはあまり長くは続かなかった。おばさんには
ショックを与えるはずだったのに、どういうわけかおばさんはすぐに冷静になってしまっ
223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 23:09:15.82 ID:Da4jKH6wo
あたしは必死に態勢を立て直した。一対一のやりとりでここまで本気を出したのは久し
振りだった。
「奈緒ちゃんはおばさんが本当のママじゃないって知っているの?」
224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 23:10:41.82 ID:Da4jKH6wo
麻紀おばさんは奈緒人さんの実のお母さんだ。そしておばさんは奈緒人さんと奈緒がま
だ幼い頃、奈緒人さんのお父さんと離婚して鈴木のおじさまと再婚した。あたしはおばさ
んには二人の子どもがいて、離婚に際してそのうちの一人の親権を取ったのだと今まで考
えていた。
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