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2013/03/03(日) 21:56:40.01 ID:y8XKonFyo
序
その少女は事務所に足を踏み入れた途端、何かに驚いたような表情を浮かべた。
しかし、彼女を案内していた男性がそれに気づくよりも早く、その顔は人なつっこい笑みに戻っている。
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2013/03/03(日) 21:58:20.83 ID:y8XKonFyo
新人歓迎パーティの途中で、社長は『後は皆で』と言い残して立ち去る。
その後、八時を回ったところで、年若い双子をプロデューサーが送っていくこととなった。
新しい仲間を迎えての宴は、まだまだ続いているものの、大人たちが複数いる間に比べれば弛緩した空気が流れ始めた、そんな頃。
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2013/03/03(日) 21:59:26.53 ID:y8XKonFyo
起き上がった途端体にかかった金の髪を鬱陶しげに振るのは星井美希。
その瞳もまた黄金に輝きだしている。
しかし、星井美希と我那覇響は今日が初顔合わせではなかったか。
まるで昔なじみのように彼女のことを語れるのはなぜだろう。
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2013/03/03(日) 22:00:45.93 ID:y8XKonFyo
「んぅ? それって……」
「偶然ってことね、信じられないかもしれないけれど」
小鳥の言葉に疑わしげに首をひねる響に、醒めた調子の声をかけるのは、如月千早。
超然とした表情がよく似合う少女は、この事務所では最も売れているアイドルだ。
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2013/03/03(日) 22:01:38.72 ID:y8XKonFyo
「すごいね、響ちゃん」
「でも、惜しいですー」
感心したように漏らすのは、儚げな雰囲気を持った萩原雪歩。
それに対して、胸の前に両拳を揃え、残念そうに漏らすのは高槻やよい。
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2013/03/03(日) 22:02:52.66 ID:y8XKonFyo
その数日後、事務所へ向かう途中、響はとある路地に目をやった。
通りを行きすぎる人は誰も気にする者などないような細い道。
彼女はしばらくその入り口を眺めるようにしていたが、ふらりとそこに入っていく。
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2013/03/03(日) 22:04:35.68 ID:y8XKonFyo
「お前ら、ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ!」
真と響が世間話のように気軽に話しているところに、男たちの一人が騒がしい声をたてる。
どうやら、彼も、その他の男たちも、いきなりの響の出現に気を取られていたようだ。
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2013/03/03(日) 22:05:41.20 ID:y8XKonFyo
彼女がなにかをしたというわけではない。
真はただその拳が襲い来るところからその体を移動させたにすぎない。
空振りとなった拳を壁に叩きつけて自爆したのはあくまで男の方だ。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:06:50.97 ID:y8XKonFyo
その体をがっちりと掴んで、出来ることならば引きずり倒すつもりであった。
倒してしまえば、あとは皆で蹴りつければいいだけだ。
だが、その指は真の体はおろか、衣服にもかすることはない。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:08:52.59 ID:y8XKonFyo
逃れる場所は無いはずだった。
どちらに避けようと、誰かの拳は当たる。
誰かが体をとらえれば、そのまま抱きついてでも動きを止めてしまえばいい。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:10:06.15 ID:y8XKonFyo
「やるなあ。でも、真なら、もっと簡単に片付けられたんじゃないか?」
「やめてくれよ。本当にボクは暴力が嫌いなんだってば」
響がからかうように言うのに、真は妙に情けない顔で応じる。
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