過去ログ - 伊織「さようなら」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:36:44.63 ID:fz9LGbgw0

その日から、新堂は言葉通り私の前に姿を見せなくなった。
これも自分が招いたことなのだから、しょうがないわよね。
でも、そのおかげで私は自分を知ることができた。

以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:37:24.93 ID:fz9LGbgw0

私には兄がいる…ふたり。普段はお兄さま、って呼んでるの。
パパとママみたいに、すごく頭がよくて、格好良くて、尊敬してるから。
『一族の最高傑作』だなんて言われてるのよ?すごいわよね。私には、ただそういうしか出来ない。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/12(火) 20:37:44.12 ID:ehIHw6ux0
期待の支援


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:38:26.24 ID:fz9LGbgw0

ああ、話が逸れちゃった。
続けるけど、私はお兄さまたちを参考にすることにした。
素晴らしい才能を持っていながら、一切それを鼻にかけたりしないの。
真面目なだけじゃなく、遊ぶ事も知ってる。見識がとっても広いの。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:38:58.79 ID:fz9LGbgw0

お兄さまと同じ立場になるという事が分からなかった。
お兄さまと私を比較して、自分のあらさがしをして落ち込む、ただそれだけだった。
先が見えないので、改めて自分の置かれた立場というものを再確認してみることにした。

以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:39:44.28 ID:fz9LGbgw0

親っていうのは、子供が出来たら嬉しいものなのよ。
中にはいい顔をしない人も居る…けれど、私の所は違った。
私が生まれて、ある程度物心がついた時点から…私は光で眩しい社交会へと足を踏み入れていたらしい。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:40:33.70 ID:fz9LGbgw0

歳を重ねるごとに増える社交界。そのときもまだお兄さまの立場への足がかりすら見えなかった。
そして、また繰り返すの。『はい、もちろん、覚えています』

私のしていることは、機械とやっていることと代わりはなかった。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:41:05.44 ID:fz9LGbgw0

私の家では、あまり娯楽があるわけではなかった。
私の娯楽…つまり、楽しみは…買い物をするくらいだったかしら。
欲しいと言えば買ってもらえたし、買ってこさせた。
でも、小さな私が思いつく欲しいものは、すぐに尽きた。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:43:42.62 ID:fz9LGbgw0

話を戻すけれど、猫そのものになった私は、まさに気分のままに社交会を出た。
パパはいつまでも話の途中だったし、使用人もせわしなく働いていた。
そこまでずっと猫をかぶって『水瀬財閥のいい娘』を演じてきた私を心配するものはいなかった。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:45:26.33 ID:fz9LGbgw0

そして店員さんがやってきた。歳をとっているけれど、笑顔のきれいな品のあるおばあさんだった。
ちょっとふっくらしていて、着ている花がらのエプロンは、とってもよく似合っていた。

『ご注文は、お決まりですか』
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:46:26.82 ID:fz9LGbgw0

『お待たせいたしました、サンドイッチと、オレンジジュースです』
差し出されたサンドイッチには、本来の量ではないだろう具がたっぷりとつまっていた。
おばあさんは大きなくりくりとした目を少しだけ細めて、こう言った。

以下略



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