13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:47:39.94 ID:fz9LGbgw0
『ねえ、お嬢さん。お嬢さんは、どこから来たの』
『ああ…ごめんなさい。とっても綺麗なお洋服を着ているから、つい、気になって』
きっと内心では心配して言ってくださったのでしょう。こんな夜に。
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2013/03/12(火) 20:48:23.01 ID:fz9LGbgw0
目を奪われていた事に気付いた。
たくさんの人の前で歌って、人を笑顔にして、人々に支持されて。
自分の存在を…認められて、いたのだから。
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2013/03/12(火) 20:49:01.48 ID:fz9LGbgw0
喫茶店のドアベルが鳴る。お嬢様、お嬢様。そう呼ぶ使用人の声が響く。
帰りましょう、旦那様がお待ちです。旦那様が、旦那様が。
お帰りにならないのであれば、多少強引にでも、と。黒服はそう言った。
その中に新堂は含まれていなかった。当たり前だけれど、少し寂しかった。
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2013/03/12(火) 20:49:29.71 ID:fz9LGbgw0
その後の事はよく覚えていないの。
家に帰ったら、今までにないくらい、優しく迎え入れられた。
奥の広間に通じる手前の廊下を通って、自分の部屋に戻るように使用人に促された。
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2013/03/12(火) 20:49:57.16 ID:fz9LGbgw0
ベッドに横になり、今日の事を思い出した。
勝手に社交会を抜けだしたこと、街に出て、たくさんの輝きを知ったこと。
おばあさんと出会って、自分の答えを見つけたこと。
とっても甘酸っぱい、オレンジジュースを飲んだこと。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:50:39.96 ID:fz9LGbgw0
アイドルに目を奪われて、羨んで、憧れて。
私はアイドルになって、自分を認めさせることに決めた。
アイドルになるためにはどうすればいいのか。
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2013/03/12(火) 20:52:19.87 ID:fz9LGbgw0
まだ、シェフはいるようだった。
食器や調味料、食材のしたごしらえなどをしていたらしい。
私に気付いて、声をかけてきた。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:54:02.84 ID:fz9LGbgw0
私はここまでの事で気付いた。
私の今までの行動も、きちんと相手に素直になれば、気持ちが通じることを。
あれこれアイドルになるために画策していた事が、急に馬鹿らしくなったの。
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2013/03/12(火) 20:55:26.92 ID:h0+z+F2to
最初のアイマスが世に出た頃はネットもまだまだ未発達なとこ多かったんだよなあ・・・
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:55:39.75 ID:fz9LGbgw0
お話があります、パパ。
ディナーを終えて、使用人も全員下がったその後に。
『ああ、やはりか』とでも言いたいような、そういう顔をしていた。
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2013/03/12(火) 20:57:11.16 ID:fz9LGbgw0
『…伊織は伊織だ、我が、愛する娘…それに変わりはないよ』
『―――けれど、伊織は、自分が認められていない、そう思っている』
はい。お父様もお母様も、私を心から愛してくれていることはわかっています。
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