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2013/03/23(土) 21:54:12.87 ID:sFFUNv8Z0
「呼ばれなかった方はお帰り頂いて結構です。お疲れ様でした」
審査員は合格者のエントリー番号を告げると、最後にそう付け加えた。
他のエントリーしたアイドル達は皆一様に肩を落とし、そそくさと会場から去っていく。
「あずささん、帰りましょうか。惜しかったですね」
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2013/03/23(土) 21:57:47.91 ID:sFFUNv8Z0
風の噂で、新幹少女がオーディション敗北者に嫌味を言うのは、プロデューサーも聞いた事があった。
他のアイドル達が、合格者の発表を聞いてすぐに会場を去ったのは、彼女達の嫌味を避けるためだったのだと、ようやくプロデューサーは理解した。
「大丈夫ですよ、プロデューサーさん。私、気にしていませんから」
あずさはそう言ってニコッと微笑んでみせると、フラフラと会場の出口へと向かった。
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2013/03/23(土) 21:59:40.73 ID:sFFUNv8Z0
「何するのよ!」
突然乱暴された事に憤り、新幹少女は一斉に見知らぬ付き添いの少女を睨み付けた。
「友達を馬鹿にするのは許せないの。
この間、自治会館で歌ってた時のあずさなら、キミ達だって全然相手にならないって思うな」
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2013/03/23(土) 22:01:53.64 ID:sFFUNv8Z0
あずさの自宅へと向かう車の中で、後部座席にいる美希は会場で起きた揉め事についてまだ愚痴をこぼしていた。
プロデューサーと、助手席にいる雪歩が美希をなだめている。
「あっちのプロデューサーさんも謝ってくれた事だし、もう止めよう、ね?」
「あの子達からは謝ってもらってないもん!」
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2013/03/23(土) 22:04:16.59 ID:sFFUNv8Z0
【3】
あずさのオーディションから二日後、美希が事務所に行くと、待ってましたとばかりに事務所のメンバーから一斉に出迎えられた。
どうやら、オーディションの翌日から、事務所ではあの日に起きた事件がちょっとしたニュースになっていたようである。
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2013/03/23(土) 22:07:27.80 ID:sFFUNv8Z0
「あれ?」
美希が不意に、キョロキョロと辺りを見回した。
「あの人は?」
「プロデューサーさんなら、オーディションに行ってるわよ」
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2013/03/23(土) 22:09:28.48 ID:sFFUNv8Z0
「あんな奴らがいるのか、と思ったよ」
すっかり憔悴しきった顔で、プロデューサーは重い口を徐々に開き始めた。
「961プロのジュピターというグループなんだが、今まで見たどのアイドルとも違っていた。
毛並みも、実力も。何より、モチベーションがあまりにも違う」
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2013/03/23(土) 22:10:52.66 ID:sFFUNv8Z0
「へぇー。新幹少女って子達、負けちゃったの」
プロデューサーの言葉に事務所の空気が一様に重くなっていく中、美希だけは間の抜けた声を出していた。
「あんたねぇ、状況が分からないの?
あずさを負かした連中を上回る新しいライバルが、今後オーディションを荒らしていくのよ?」
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2013/03/23(土) 22:12:46.06 ID:sFFUNv8Z0
「美希君の言う事にも一理ある」
律子達の後ろで黙って話を聞いていた高木が、美希に賛同した。
「今の我々が961と張り合う必要などない。
これまで通り、地道にレッスンを重ね、着実にオーディションを受けていけば良いのだ。
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 22:14:28.56 ID:sFFUNv8Z0
「響、明日でないと高木殿はいらっしゃらないのでは?」
「せっかくここまで来たんだし、事務所の人達に挨拶くらいしたってバチは当らないさー」
外で、何やら声が聞こえる。律子は玄関へ行き、ドアを開けた。
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 22:16:04.22 ID:sFFUNv8Z0
沖縄生まれだという響は、美希の良い遊び相手になっていた。
もとい、おもちゃという表現が正しいのかも知れない。
響にその気は無いのだが、一方的に美希に振り回される事が多いようだ。
今日も美希は事務所のソファーに腰掛け、響の長い黒髪を撫でながら恍惚とした表情を浮かべている。
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