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2013/03/24(日) 00:04:15.52 ID:7LnCOhGJ0
【5】
「プロデューサー、ちょっと―――」
律子がそう言って、プロデューサーを社長室の中から手招きした。
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2013/03/24(日) 00:10:24.37 ID:7LnCOhGJ0
あの日から、アイドル達の仲は回復していた。
今日など、真と響はソファーのそばに立ち、空手談義で盛り上がっている。
響に琉球空手の心得があることを知るや否や、真が拳骨を突き出したのがきっかけだ。
千早や伊織、貴音は、二人が空手の型を披露するのを、雪歩が淹れたお茶を飲みながら楽しそうに眺めていた。
92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:16:26.76 ID:7LnCOhGJ0
プロデューサーは「えっ」と間の抜けた声を上げた。
一度、こんな事があったのだと律子は語る。
深夜、ようやく残務を整理し、一人帰宅する準備をしていた所に、事務所の電話が鳴った。
出てみると、いつも使っているレッスンスタジオからだった。
93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:19:18.95 ID:7LnCOhGJ0
ふと、プロデューサーは近頃の雪歩の様子を思い出した。
例えば、車に乗せて移動する際、いつもは助手席に浅く腰掛けてオドオドしている事の多い彼女だが、最近は違う。
移動先に着き、プロデューサーが起こすまで、グッスリと寝ている事が多くなった。
声を掛けるだけでなく、肩を揺らすまで起きないこともザラだ。
94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:23:39.89 ID:7LnCOhGJ0
第二京浜から山手通りへ入り、中目黒の立体交差点を右折した。
駒沢通りから代官山の駅のそばを通り、北上する。
「最近、良く頑張ってるな」
渋谷のフォトスタジオへ向かう間、プロデューサーはそれとなく雪歩に話しかけた。
95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:26:33.81 ID:7LnCOhGJ0
「いや、ちょっと気になってさ」
「い、いえ、何も――」
雪歩は、急に背筋を伸ばしてオドオドし始めた。
手応えを掴んだプロデューサーは、続けて畳み掛けた。
96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:31:03.43 ID:7LnCOhGJ0
「何で、あの時、美希ちゃんに追いつこうって――頑張ろうって、誰も思わなかったのかなぁ――!」
雪歩の目から、大粒の涙がこぼれた。
「美希ちゃんを孤立させちゃって、苦しめたのは、私達なんですぅ」
「いや、俺達だ」
97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:32:16.66 ID:7LnCOhGJ0
少し遅めの昼休みが終わり、予定がある者は皆事務所を出て行った。
久々に出前を取ったこともあり、給湯室には食器類がいつもより余計に多く積まれていた。
ゴミ出しとテーブル拭きを終えたやよいが、それらを前にもう一度袖をまくり直す。
「いいわよ、高槻さん。洗い物なら私がやっておくから」
98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 00:34:04.40 ID:7LnCOhGJ0
初めのうちは、普段使う食器やお茶っ葉、詰め替えの洗剤の場所も分からなかった。
しかし、伊織と一緒にやよいの手伝いをするうちにだんだん覚えてきたものだ。
洗い物は15分ほどで終わった。
やよいなら、おそらく10分もかからないのだろう。
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2013/03/24(日) 00:36:28.08 ID:7LnCOhGJ0
「お疲れ様です、あずささん」
千早は状況を察知し、なるべくオーディションの事には触れないようにと思った。
「あら〜、千早ちゃんお疲れ様。何か冷蔵庫に飲み物入ってたりしないかしら〜?」
あずさは、普段通りの口調で千早と挨拶を交わすと、冷蔵庫を開けて中身を物色し始めた。
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