過去ログ - 美琴「何、やってんのよ、アンタ」垣根「…………ッ!!」3
1- 20
12: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:17:54.85 ID:Y3hy9anU0
そんなたくさんの花の中からいくつか候補を絞るが、決め手に欠ける。
なので美琴は素直に店員の力を借りることにした。
すみません、と声をかけると人の良さそうな笑顔を浮かべた女性店員がやって来た。
大学生くらいの年だろう。やはりこのような華やかな店では特に笑顔は重要らしい。
綺麗な人だな、と素直に思った。
以下略



13: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:21:24.01 ID:Y3hy9anU0
「献花ですか。基本的にあまり制限はないです。
棘のある薔薇や匂いの強い百合、色の強いものなどは避けられますが。
その方が亡くなられて時間が経っているのであれば段階的に色花も用いますね」

九九八二号が死んだのは八月一五日。
以下略



14: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:26:06.40 ID:Y3hy9anU0
へぇ、と美琴は内心少し驚いた。
おそらくアルバイトだろうに、ずいぶんと詳しい。
学園都市には墓地は第一〇学区にしかなく、住人もほとんどが学生なのでこういう質問に慣れているとも思えない。
ここは素直にこの物知りな店員に従っておこう、と美琴は思った。
あまり時間もないことだし、こういうことはプロに任せるのが一番だ。
以下略



15: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:28:01.12 ID:Y3hy9anU0
だが、何も知らずにいれば自分は幸せだったのか? と美琴は思う。
たしかにただの一学生であれば美琴はこんな目に合わずに済んだだろう。
もっと平穏な世界で生きられたはずだ。

だがもしそうだったならロシアでは街一つが大変なことになっていたかもしれない。
以下略



16: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:31:25.27 ID:Y3hy9anU0
だから、美琴はこれまでの生き方を否定しない。
一万人の妹を救えなかったことも、一万人の妹を救えたことも。
もし『幸運』だったのなら自分の罪に気付くことさえ出来なかったのだから。

花束を二束持って歩く美琴は端的に言って浮いていた。
以下略



17: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:37:08.96 ID:Y3hy9anU0
結果から言って、美琴の予感は半分外れた。
電車を待っている時も、乗っている今も注目はされたが意外と気にしていない人の方が多かったのだ。
美琴にとっては非常にありがたいことだった。
あまりに見られていると一挙手一投足にまで気を使ってしまう。
もともとがお嬢様というより庶民に近い美琴なので、どうしても疲れるのである。
以下略



18: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:41:05.34 ID:Y3hy9anU0
それだけではない。御坂美琴は学園都市の『闇』を知りながら『表』の人間でもある。
この街の悪い面だけではなく良い面も知っている。
たくさんの出会いがあった。たくさんの物語があった。
美琴が学園都市にいなければどうなっていただろう。
勝手にクローンなんてふざけたものが作られることも、あの『実験』もなかっただろうと思う。
以下略



19: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:44:33.86 ID:Y3hy9anU0
誰にも望まれず、誰にも愛されず、生まれ、生き、そして死んでいった一万人の妹達。
そのほぼ全員を美琴は知らないし、どこで死んだのかも分からない。
ならばせめて知っている者にだけでも墓前で教えてあげたい。
妹達が何人いようと、ボタン一つで量産できる存在だろうと、その死を悲しむ人間がいるのだということを。

以下略



20: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:46:38.77 ID:Y3hy9anU0
ローファーがアスファルトをカツン、カツン、と叩く音が両側をビルに挟まれた道に反響する。
吹きつける冷たい風はビル風となって轟々と唸りを上げる。
その強い風は美琴の髪をサラサラと揺らし、更にスカートを揺らした。

辺りに捨てられている紙屑が風に乗って流され、地面を引っ掻きながら飛んでいく。
以下略



21: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:48:13.19 ID:Y3hy9anU0
「一〇〇三一号」

美琴がぽつりと呟いた。
その声は路地裏に反響することなく、強く吹きつける風の音によって掻き消される。
一度曲がったせいか吹く風は弱くなってはいたが、その音はここまで届いていた。
以下略



22: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 22:49:25.74 ID:Y3hy9anU0


    ――『お姉様』――


以下略



1002Res/821.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice