過去ログ - 美琴「何、やってんのよ、アンタ」垣根「…………ッ!!」3
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24: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:05:08.74 ID:Y3hy9anU0
残念ながら彼女たちに墓は用意されていない。
美琴はその場でしゃがみ込み、店で買った菊の花束を一束壁に立てかける。
死んだ者は、生き返らない。
それがこの世界における絶対の法則。
たとえ科学が二、三〇年進んでいても、能力なんてものが一般に広まっていても、魔術なんてオカルトが存在していても。
以下略



25: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:06:19.22 ID:Y3hy9anU0
垣根にも「クソシスター」などと呼ばれる始末だが、控えめに考えても美琴よりはこういったことに詳しいだろう。
十字教式にはなるが今度インデックスに頼んでみようか、と美琴は思った。
気持ちが重要とは言ったものの、やはり可能ならば本職の人間にやってもらいたい。
詳しい事情は当然話せないが、きっと頼めば引き受けてくれるだろう。
彼女の人となりはそれなりには理解したつもりだ。
以下略



26: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:07:53.09 ID:Y3hy9anU0




とある橋の下。何らかのコンテナや、何故か敷かれているレール。
以下略



27: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:12:06.66 ID:Y3hy9anU0
だがもはやそんな痕跡は全く残っていない。
一〇〇三一号の死んだ路地裏と同様に、残りの妹達によって完璧な証拠隠滅が為されている。
記憶を頼りに九九八二号が死んだ、まさにその場所のはずの場所へ美琴は足を運ぶ。
そう、たしか丁度ここだったはずだ。
美琴はしゃがみ込み、一〇〇三一号にそうしたように菊の花束を供えた。
以下略



28: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:13:11.93 ID:Y3hy9anU0
死んだ人間のことは死んだ人間にしか分からない。
至極当たり前のことだ。
生者は死者の気持ちを推測し、代弁することは出来る。
だがそれが必ずしも死者の気持ちを真に汲んだものかは永久に分からない。
だからこそ、美琴は問う。
以下略



29: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:15:09.51 ID:Y3hy9anU0
気付けば美琴の瞳は濡れていた。
だが九九八二号の前でそんな姿は晒すのも躊躇われた。
逃げるように視線を脇へずらすと、視界の端にゴミのようなものが映った。
いつもなら路上に捨てられている空き缶のように、ゴミ情報として記憶に留められることはなかっただろう。
だがそれは何か違った。あれを見過ごしてはいけないと何かが告げている気がした。
以下略



30: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:17:45.81 ID:Y3hy9anU0
美琴は手が汚れるのも気にせずにゲコ太の缶バッジを胸元で強く、強く握り締めた。
ポタ、ポタと透明な雫が汚れた缶バッジに落ち、その汚れを流していく。
美琴は体を震わせ、静かに立ち尽くす。
暫くの後再び歩き出した時には、バッジの汚れはだいぶ落ちてしまっていた。

以下略



31: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:19:20.84 ID:Y3hy9anU0
菊を気に入ってくれるかどうかも不明だ。
美琴には菊が二人の好みに合うことを願うしかなかった。

少しでも気を抜けばまたも流れてしまいそうになる涙を堪え、美琴は俯いた。
一方通行と再会してからというもの、こっち泣いてばかりだ。
以下略



32: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:22:49.23 ID:Y3hy9anU0
その謝罪は九九八二号に届いているのだろうか。
死後魂がどうなるか、とか死後の世界はどうなっているか、なんてことに対して美琴は独自の考えなど持ち合わせてはいない。
だがもし死後の世界、天国や地獄なんてものがあったとしても、いつか美琴が死んだ時そこで九九八二号と会えるとは思えなかった。

美琴が九九八二号に会うことは死後含めもう未来永劫ない。
以下略



33: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/04/02(火) 23:27:33.79 ID:Y3hy9anU0
九九八二号は、いや、殺された一万人の妹達はただ死んだだけではない。
戸籍もなく、死亡届も存在せず、墓も遺骨も存在せず、カメラやセンサーなどの防犯装置からも完全に抹消されてしまっている。
存在そのものが禁忌だった彼女たちは理不尽に殺されてしまったばかりか、生きていた証を一つも残すことが出来なかった。
まるで初めから存在していなかったかのように、世界からその痕跡を消されている。

以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/04/02(火) 23:28:21.22 ID:ye/YN30u0
ニコライの核ミサイルの話はここではないんじゃないの?


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