151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:19:14.53 ID:Mlv00GWXo
ふと、例の男のことを思い出した。
自分がどのくらい眠っていたのかは分からないけれど、話はもう終わったのだろうか?
シラユキは、話が終わったらわたしのところに来ると言っていた。
152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:20:08.55 ID:Mlv00GWXo
着替えを終えて廊下に出る。いつもより肌寒いような気がした。
ここでの生活には、現実感というものがほとんどない。
地に足をつけてここに生活しているという実感が、ほとんどないのだ。
153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:21:17.50 ID:Mlv00GWXo
わたしが降りてきたことに気付いたのは、シラユキより男の方が先だった。
そのことに、すごく嫌な気持ちになる。
気分が落ち着かない。何かもやもやとしている。
154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:23:06.93 ID:Mlv00GWXo
シラユキに視線をやると、彼女はわたしから目を逸らした。
「シラユキ?」
155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:24:28.80 ID:Mlv00GWXo
わたしは問い詰めようとして、彼の名前を知らないことに気付いた。
相手のことを知るのは対話の一歩目だ。何かの本に、それらしいことが書いてあった。
名前は相手の情報の中でも、もっとも基本的なものだ。
156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:24:55.24 ID:Mlv00GWXo
「そうだな。一度、お兄ちゃんって呼ばれてみたかった。それでどうだ?」
「わたしはあなたの妹じゃない」とわたしは言った。
157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:25:22.84 ID:Mlv00GWXo
「あの――」
何かを言いかけた彼女を、
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2013/05/27(月) 07:26:54.12 ID:Mlv00GWXo
「アヤメ」
と、それが当たり前のことかのように、彼はその名前でわたしを呼んだ。
159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:27:21.44 ID:Mlv00GWXo
「ちょっと待って」
「同じ屋敷で暮らすんだ。仲良くしよう、アヤメ」
160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:29:26.95 ID:Mlv00GWXo
彼の表情はあくまで真剣だった。
わたしは強く混乱しながら、自分がどうしてこんなにも混乱しているのかについて考えていた。
いいじゃないか呼び方くらい。好きに呼ばせてあげればいいんだ。名前なんてなんだっていい。
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