309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:32:18.41 ID:4Z+Lx22no
別にかまわないじゃないか。そう思った。ツキが死のうと生きようと関係ない。
そう思ったから、わたしはここにいるんじゃないのか?
ツキが悲しんでも、苦しんでも、関係ない。そう思ったから、わたしは今ここにいるのだ。
310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:32:44.84 ID:4Z+Lx22no
わたしは無性に叫びだしたいような気持ちになった。
どうしようもなく、気分が収まらなかった。そう考える自分を抑え込もうとした。
ベッドを降りて、窓の外を睨んだ。そして思う。
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2013/06/06(木) 06:33:27.16 ID:4Z+Lx22no
そう思うことに、どことなく抵抗もあった。理屈が合わなくなってしまう不安。
でも、それどころじゃない。彼はこんなところにいてはいけないのだ。
ツキの両親は、彼が死んだらきっと悲しむ。
312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:34:16.58 ID:4Z+Lx22no
「シラユキ」
呼びかけると、彼女は意外そうに顔をあげた。
313:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:35:20.63 ID:4Z+Lx22no
「分かったって、どうしたんです?」
「ツキを現実に送り返す。彼に死なれるのは困るから」
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2013/06/06(木) 06:35:55.25 ID:4Z+Lx22no
◇
わたしは部屋に戻り、動きやすい服に着替えた。
それから何か武器になるようなものを探した。
315:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:36:39.14 ID:4Z+Lx22no
彼らはツキを見つければ、すぐに捕縛し、殺害しようとする。
里にやってきた熊を撃ち殺すみたいに。
そして、仮にわたしがこの世界から逃げようとすれば、わたしを捕らえようとする。
316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:37:34.43 ID:4Z+Lx22no
なんとか気持ちを落ち着かせなくては、とわたしは思った。
それから軽く食事をとった。
シラユキはなんとも言えないような表情でわたしを見た。
317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:38:01.30 ID:4Z+Lx22no
ドアを叩く音。シラユキが扉を開けた。
客人が何かを言うよりも先に、彼女が声を掛けた。
318:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:39:52.42 ID:4Z+Lx22no
シラユキは頷く。特殊ではあるが、,彼女もこの世界の住人だ。
この世界のしがらみには、従わざるを得ないのだろう。
「それでは、少しのあいだ騒がしくなると思いますが、よろしくお願いします。
319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:40:24.52 ID:4Z+Lx22no
「森の中で人ひとりを探すというのは、大勢の人間がいるにしても、簡単なことではありません。
とはいえ、外は雨が降っていますから、ツキの体力の方も心配しなくてはいけません」
「……うん。でも、これじゃ、外に出られない」
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