391:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 07:57:23.19 ID:CqJ5WJUIo
振り返ると、炎に照らされたわたしの影が、壁に大きく映し出される。
掛けられた絵画の様子は変わらない。少女の顔がズタズタに裂かれている。
誰が裂いたんだろう。
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2013/06/11(火) 07:58:18.40 ID:CqJ5WJUIo
この部屋がただここにあるだけなら、わたしは何も考えずに済んだ。
わたしが暮らしている屋敷についてだって、詳しいことは分からないのだ。
ただ、そういうふうに出来上がってしまったものなのだろうと、シラユキの話を聞いてからは考えていた。
393:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:00:25.70 ID:CqJ5WJUIo
火をつけた人物は、いったいどこにいるんだろう。
いや、そもそも、その人は何者なんだろう。
少なくとも、下界の人間ではないだろう。
394:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:01:41.69 ID:CqJ5WJUIo
わたしたちは、何の苦労もせずに屋敷に忍び込める隠し通路があることにも気付かなかった。
その通路に、こんな部屋があることにも気付かなかった。
つまり、ここに以前から"誰か"が居たのだとするなら、その人物は今までずっと、容易に屋敷に忍び込むことができたのだ。
395:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:02:26.13 ID:CqJ5WJUIo
ということは、この部屋の主は、わたしがここにいたとき、他の空間にいたことになる。
他の空間。
わたしは書斎からこの部屋まで歩いてきた。
396:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:03:50.78 ID:CqJ5WJUIo
その人がわたしの目を盗み、この部屋にやってきて、再びいなくなるのは簡単だったろう。
森は四方に開けているから、隠れるのは困難ではない。
書庫は本棚がたくさんあるから、身を隠すのは簡単だ。
397:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:04:43.85 ID:CqJ5WJUIo
怖気に、体が震えた。
わたしは静かに息を吐き出して、ゆっくりと吸い込んだ。
落ち着け、と自分に言い聞かせる。
398:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:05:49.87 ID:CqJ5WJUIo
「あなた、誰?」
「見れば分かるよ」
399:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:06:24.87 ID:CqJ5WJUIo
「逃げるんだ?」
と声は言った。聞き覚えのある声。
400:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:09:08.66 ID:CqJ5WJUIo
「落ち着いて、話をしてみない?」
返事をしたらいけない。そう思った。
でも、腕を掴まれてしまった。目を瞑りながら、振り払って逃げ切るのも現実的じゃない。
401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:10:05.11 ID:CqJ5WJUIo
「お願いがあるんだけど」
「なに?」
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