過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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482:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:35:41.41 ID:2Yrmim71o

 シラユキはわたしの手のひらに銃を握らせる。それからわたしに弾丸を込めるように言った。

 わたしは混乱しながらも、人々の目を気にして、弾倉に弾を込める。
 何が起こっているんだろう。どうしてこうなったんだろう。
以下略



483:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:36:44.97 ID:2Yrmim71o

 わたしが黙り込んでいると、ツキを抑え込んでいた二人の男が、彼を濡れた地面にうつ伏せに組み伏せた。
 それを遮り、ふたりをツキから離れさせる。

 彼は特に縛られていたわけでもなかった。もう全身は自由だ。
以下略



484:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:37:15.80 ID:2Yrmim71o

「どうしてわたしが、ツキを殺さなきゃいけないの?」

 まずいと思ったけれど、そう言わずにはいられなかった。
 檀上に集う視線。わたしを見張る何人かの人々。手に握った拳銃。
以下略



485:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:39:20.53 ID:2Yrmim71o

「それじゃあ順番が逆だ。お前は選ばなくちゃいけないんだよ。俺を殺すか、俺を殺さないか」

「どうして?」

以下略



486:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:40:29.50 ID:2Yrmim71o

「生き長らえるつもりがないなら、俺が生きるか死ぬかだって些細なことだ。
 いまさら俺が生き残るかどうかなんて気にしない。そうだろ。
 だってお前は、俺のことなんてどうでもいいと思ったからこそ、死のうとしたんだから。
 後のことなんてどうなったってかまわないって思ったから、ここに来たんだろう。
以下略



487:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:41:24.32 ID:2Yrmim71o

 わたしは少し考えてから、彼の疑問に答えた。

「あなたの価値とか、世界そのものの価値とか、関係ないんだよ、ツキ。
 わたしはただ、わたしとして生きるのが嫌になったから、死んでしまいたいの。
以下略



488:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:42:18.18 ID:2Yrmim71o

 街の人々は、なにも言わない。
 わたしたちのやりとりなんてまるで聞いていないようだった。

「殺せよ」
以下略



489:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:43:51.29 ID:2Yrmim71o

 わたしは溜め息をついた。
 そして、どうしてこんな馬鹿らしい会話を続けているんだろう、と不意に考えた。

 もういいじゃないか、とわたしは思う。こんな押し問答を続けて何になるのだ?
以下略



490:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:46:40.18 ID:2Yrmim71o

「そうか。なるほどな」

 彼は考え込むような顔になった。静寂が辺りを包み込む。誰もなにも言わない。
 ただ雨が降り続いている。
以下略



491:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:48:24.23 ID:2Yrmim71o

 真っ先に声をあげたのは、少し離れた位置にいた村長だった。

「捕えろ!」

以下略



492:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:48:57.35 ID:2Yrmim71o
つづく


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