542:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:38:00.40 ID:gFrmtBDeo
わたしは少し戸惑った。
隠し事をしているとか言い忘れていたことがあるとか、そういうことなら、別に驚かない。
でも、シラユキがわたしに嘘をつくなんてことを、わたしは想像すらもしていなかった。
543:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:39:33.42 ID:gFrmtBDeo
「何のために、そんなことをしたの?」
「いくつか理由があります。まず、捕らえられた状態からツキを直接救出しようとしたら、結構な労力が掛かるからです。
ツキを助けようと思うなら、一番都合のいい状態は、ツキが処刑される直前だったんです。
544:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:40:10.10 ID:gFrmtBDeo
わたしは息を呑んだ。
急に、目の前の少女が、得体の知れない怪物のように見えた。
「それは、ツキが殺される瞬間を、ということ?」
545:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:41:03.70 ID:gFrmtBDeo
「ツキを助けたい、とは思っていたかもしれません。
でも、ツキを助けるために自分も生き延びる、とまでは考えていなかったように思います。
あのときも言ったと思いますが、それではツキを助けることはできません」
546:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:42:33.83 ID:gFrmtBDeo
「あなたが死に傾けば傾くほど、ツキもわたしも、そうした結果を想像することができました。
擬似的に未来を感じ取ることができたわけです。あなたが死んだ結果として、ツキは死に蝕まれる。
そうである以上、“あなたの死の影響”からツキを助けるには、あなたが死なない以外に方法はないんです」
547:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:43:40.37 ID:gFrmtBDeo
「結果そうはならなかったのは、救いでしたね。
でもあの段階で、どうすればいいのか、さらに分からなくなりました。
ツキの死を見過ごすのか、見過ごさず自分も生きるのか、二択を迫ったつもりだったんです。
あなたはどちらも選ばなかったから。わたしが上手く説明できなかったのも、悪かったんでしょうけど」
548:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:44:34.37 ID:gFrmtBDeo
「誤解のないように言っておきますが、包丁を振り回して暴れるつもりはありませんでしたよ。
ただ、仮にあなたが生きようと思っても、そう思わなくても、ツキを助ける必要があったんです。
わたしにとってはあなただけでなく、ツキも死なせるわけにはいかない存在ですから」
549:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:45:19.94 ID:gFrmtBDeo
やがてシラユキは、真剣な顔で小さく頷いた。自分を納得させようとしているみたいに見えた。
「ここまで話したのは、もう本当に、どうしようもない状況になってしまったからです」
550:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:46:26.03 ID:gFrmtBDeo
「まだ、隠してることがあるんです。
本当はまだ言いたくないんですけど、言わないとフェアじゃないような気がして……。
でも、これを言ったら、あなたは騙されたと思うかもしれない」
551:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/21(金) 02:47:26.03 ID:gFrmtBDeo
「……わたしが知っているシラユキは、あなただけど。でも、それなら、あなたは誰なの?」
「それについても、シラユキ、と言うほかありません」
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