1: ◆m03zzdT6fs[saga sage]
2013/06/12(水) 03:17:53.24 ID:XCXUAY/Ho
鷹富士茄子さんのSSです。
ちょっぴりシリアス&勝手設定&ご都合主義&視点変更あり。これまで趣味に走ったものしか書いていないので、少し変になってしまったらごめんなさい。
少しだけ書き溜めはありますが、ほとんど見切り発車なのでご容赦ください。
更新は一区切りつく→一気に投下という形になります。週三くらいでできればいいかなぁ、と思っています。
都合上、茄子さんのPに対する呼び方が『プロデューサー』ではなく『Pさん』になっていますので、ご注意ください。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:19:01.78 ID:XCXUAY/Ho
――今までありがとうございました、Pさんっ!
ああ、またこの夢だ。見慣れた顔”達”が、聞きなれた声で俺に声を掛ける。
輝かしい未来に夢を見る彼女たち。ある子はとびきりの笑顔で、ある子は悲しさを押し殺して、ある子は決意を新たにして。
3: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:20:00.82 ID:XCXUAY/Ho
目を覚ます。酷く寝覚めが悪い。当然のことだ。胸糞の悪い夢だった。
どうやら、少し眠っていたようだ。このところ、移籍交渉やその手続きのせいで、激務が続いていたせいかもしれない。
周りを見渡す。誰もいない、がらんとした薄暗い事務所。机はぽつん、と一つだけ、自分の物が置いてある。
4: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:22:03.66 ID:XCXUAY/Ho
『あぁ、糞。いや、今更言っても意味ないか……』
ただ、気分は最悪だ。それでもいい、と割り切りをしたところで、気分が落ち込むのは止められることではない。
そして、皮肉なことだがそれに慣れてきている自分がいる。移籍のペースはだんだん上がってきているし、俺の育成の腕も磨きがかかっている。
5: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:22:49.66 ID:XCXUAY/Ho
『……あいつが、立派なアイドルになれますように』
近所にある、小さな神社で、俺は五円玉を賽銭箱に放り投げ、柏手を打って呟く。恒例の儀式だ。
初めてアイドルが移籍した時に、気分が落ち込んで事務所に戻らず、散歩をしていた時に見つけた神社だった。
6: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:23:30.98 ID:XCXUAY/Ho
黒いセミロングヘアの女性。澄んだ琥珀色の瞳に、色白の肌。落ち着いた雰囲気の洋服に、控えめながらよく似合うネックレス。
俺は何の理由もなく思う。この子は、売れると。この子であればきっと、トップアイドルになってくれると。
気が付けば、俺は声を掛けていた。何の躊躇もなく、何の脈絡もなく。
7: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:24:26.35 ID:XCXUAY/Ho
「零細プロダクションのPさん、ですか?」
『あ、あぁ。そこで、まあ、スカウトと事務員とトレーナーと社長とマネージャーを兼務してる。だからこうやって、声を掛けたわけなんだが』
俺は自分の担当している役柄をすべて並べ立てる。こう見れば、とても忙しいように見えるが、所詮は零細だ。仕事もなければアイドルもいないのである。
8: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2013/06/12(水) 03:24:56.04 ID:XCXUAY/Ho
俺のまくしたてるように、慌てふためく姿を見て、彼女は少し愉快そうに笑う。一方の俺はきょとんとした顔だ。変な人と思われたのかもしれない。少し、いやかなりがっついてしまっていた可能性が、否定しきれない。
『あ、えっと、どうかしたのか』
「ふふ、面白い方と思って。そんなにあわてなくても、私は逃げませんよっ♪」
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