5: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:23:51.40 ID:bAq3pyUe0
「あなた、友達いないの?なら、わたしと友達になりましょう」
保育園の中ですら、カーストが決まったあとのことだった。
前々から可愛いなあとか思っていた子が、僕に声をかけた。
6: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:24:19.85 ID:bAq3pyUe0
今日も輝く衣装を身に纏い、母が保育園に参上していた。
ばいばい、などと手を振る僕を見て、母は嬉しそうに笑った。
「あんたなかなか女見る目あるじゃない」なんて言っていた。
7: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:25:14.74 ID:bAq3pyUe0
しかし不可思議であったのは、彼女との関係が長く続くことである。
未だにその関係は切れてもいないし、また深く繋がったわけでもない。
これは僕の予想だが、なんだかこのまま一生を終えそうな気がする。
8: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:25:41.12 ID:bAq3pyUe0
小さな街に小学校はいくつもなく、必然的に一箇所に集結するのである。
入学式の日も、僕は彼女と並んで最高の笑顔で写真を撮っていた。
この時だけに限って母はきちんとした礼装をしていたと思うのだ。
9: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:26:26.84 ID:bAq3pyUe0
月とスッポン。
一言でこの関係性を表せるのだから便利な言葉だと思う。
教室の空気は凍った。そして僕の表情も同様に凍っていた。
10: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:26:55.20 ID:bAq3pyUe0
僕は知らずにクラスの男子全員に爆弾を仕掛けたのである。
もしかしたら、付き合えるかもしれない。あわよくば。
クラスの男子は色めき立ち女子は見るに耐えなかった。
11: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:27:46.05 ID:bAq3pyUe0
「人がいいのは、君じゃないか。勝手な事をして、ごめん」
「わたしはいいのよ。ああ、なら、もう、どうでもいいか」
12: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:28:17.67 ID:bAq3pyUe0
小学一年生の宿題なぞ知れている。すぐに終わってしまった。
ラップがかけてあった焼きそばをレンジでチンし、いただいた。
相変わらずソースの味がきついがお袋の味だと思いこんでいる。
13: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:28:52.07 ID:bAq3pyUe0
『普通って、最高だと思わないかしら』
『普通だよ。お母さんは、普通でいいの?』
14: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:29:19.28 ID:bAq3pyUe0
我が家で最も早くに目が覚めるのは僕である。
何故なら母は帰宅した後玄関で寝るからである。
風邪を引いてはいけないと思い、僕が運ぶのだ。
15: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:31:36.65 ID:bAq3pyUe0
きょうつうにんしき。なんだろう。難しい言葉だ。
幸せになるには、強さも弱さも必要だと彼女は言った。
まあ強さは分かる。でも、弱さは何で必要なんだろう。
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