47: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:42:00.69 ID:EnRHzSex0
  
 「昨日、数々の名曲を生み出していた、作曲家の―――――」 
  
 ようやく訪れた、とある休日の朝のことだった。今日は一日朝だ。 
 「あの作曲家が、亡くなっちゃったんだって」と母が僕に言った。 
48: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:42:35.19 ID:EnRHzSex0
  
 「先生。こんばんは」 
  
 「おう。こんばんは」 
  
49: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:43:02.00 ID:EnRHzSex0
  
 あなたは 幸せ です。 
  
  
50: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:43:42.66 ID:EnRHzSex0
  
 「本日未明。特徴的なタッチで知られる、画家の―――――」 
  
 人の死を報じるニュースは、日を追うごとに増えていくような気がした。 
 今まで目に留めていなかったからなのかは、それは、わからないけれど。 
51: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:44:21.18 ID:EnRHzSex0
  
 「ねえ。今度、お祭りがあるみたいなの。行ってみたい。行きましょう」 
  
 明瞭かつ、端的に要件を伝えてきたのは彼女だった。お祭りか。 
 テストも終わり、少しだけだが、僕は、また順位をあげていた。 
52: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:44:53.73 ID:EnRHzSex0
  
 「お待たせ。待った?待ってないわよねえ。言ってみたかっただけ」 
  
 「今、僕が来る瞬間見てたでしょう。待ってるはずはないと思うよ」 
  
53: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:45:22.14 ID:EnRHzSex0
  
 「楽しかった。今日は付き合ってくれて、ありがとう。感謝してる」 
  
 「いいよ。僕も祭に興味あったし。久々にはしゃいじゃったよ、僕」 
  
54: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:45:47.18 ID:EnRHzSex0
  
 僕は、それを口にしてから「しまった」と思っていた。 
  
 彼女は以前、その話題について避けようとしていたはずだった。 
 なのに、今、こうやって僕が話を掘り返そうとしている。ああ。 
55: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:46:15.80 ID:EnRHzSex0
  
 「あなたは、元の世界に戻りたいって、思うかしら?」 
  
 「そうだな。僕は、この世界でもいいとは思ってるよ」 
  
56: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:46:41.36 ID:EnRHzSex0
  
 「花火。綺麗じゃない」 
  
 彼女の言葉は、市販の小さな花火で打ち消されてしまった。 
 小さな花火だったけれど、僕たちには、それで十分だった。 
57: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:47:07.92 ID:EnRHzSex0
  
 あなたは 幸せ です。 
  
  
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