83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/15(木) 13:29:33.05 ID:5+iNWHTjo
乙乙
ひょっとして世界観繋がってる?
面白いよ、無理はしないでね
84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/16(金) 21:13:57.83 ID:X8SZ+SZ0o
おつ
85: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:37:31.30 ID:4Y+/Hkh9o
「それでは、ひとまず私は帰らせていただこうかな、と。次の予定もあることです。それと、いきなりやってきてこのような突然のお話、申し訳ありませんな」
「いえいえ、本人の意思を尊重していただき、感謝いたしますよ。正直、我がプロダクション程度のレベルでは、買収されても文句は言えませんからな」
時間にして、僅か三十分ほどのことだった。三時過ぎに事務所へ戻ってきて、今の時刻はまだ三時半である。
86: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:37:58.08 ID:4Y+/Hkh9o
「とりあえず、Pくん。良い返事を期待しているが、君の意思を尊重したい。ゆっくり考えてくれ」
そんな、”ど”がつくほどネガティヴな考えをしているなど、きっと目の前の男性は分からないだろうな、などと私は考えていた。
『え、あ、はい。分かりました……。いつまでに、お返事をすればよろしいので?』
87: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:38:23.93 ID:4Y+/Hkh9o
ずんずん、一人で社長室の出口へと歩いていく。行動だけ見ていれば唯我独尊、傍若無人とでもいえそうだ。だが、その裏には、しっかりと綿密に織り込まれた配慮が見え隠れしていた。
効率的な行動を好みつつも、人を見る才能と、人を使う才能に長けているのだろう。私はそう感じた。
そうして、社長ともども、呆気に取られているうちに、シンデレラガールズの社長は帰って行った。社長室の外で、二番手プロデューサーが挨拶している声が聞こえる。
88: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:39:22.63 ID:4Y+/Hkh9o
なにせ、役立たずもいい所なのだ。この事務所が今上手く行っていないのも、私が営業と広報をしているからだ。
無能な私が、広報と営業と言う、他者とのパイプラインのほとんどを担っているからこそ、この様なのだと。
実際、産休で居ない女性社員が営業をしていた時は、ここまで苦しくはなかった気がする。
89: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:39:48.49 ID:4Y+/Hkh9o
『お言葉ですが社長。私はどうしようもなく平凡で、無能です。社会人として、このようなことを言うのは、間違っていると重々承知ですが、この事務所がここまで苦しいのは私に責任があると……』
「おい、図に乗るなよ、Pくん」
私の言葉は、そんな社長の一喝で遮られる。静かな言葉だったが、どこか人生の先達として、酸いも甘いもかみ分けてきた人間の老練さがにじみ出ていた。
90: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:40:14.69 ID:4Y+/Hkh9o
「君は、平凡と無能の違いを理解したほうがいい。君は君の言うとおり、きっと平凡なのだろうけどね、無能じゃない。それは忘れてはいけないよ」
私はわけがわからないまま、その言葉をとりあえず頭に刻む。昔、劇団に所属した時の名残だ。意味は分からなくとも、とにかくセリフを覚える必要があったが故の産物である。
なんにでも手を出した、中途半端がゆえの副産物が、こんなところで生きるとは思わなかったが……。
91: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:40:48.28 ID:4Y+/Hkh9o
(……まあ、考えるのは後。今は先に仕事をしないと)
そう、内心で呟き、私はデスクへと着く。かたかた、と二番手のプロデューサーが叩くキーボードの音が響く。
それを聞きながら、私はコーヒーをすする。熱いその黒い液体は、私の口を駆け巡り、一気に胃袋へと落ちていく。
92: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:41:17.55 ID:4Y+/Hkh9o
「はい、どうしました、Pさん?」
『本日の営業なのですが……』
そう切り出すと、二番手プロデューサーは少し苦笑し、
93: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:41:43.73 ID:4Y+/Hkh9o
「へ、お仕事、取ってこれたんですか? 凄いですね、Pさん」
彼はそういって、少しばかり嬉しそうに封筒を受け取るのだ。私は少し不思議に思い、尋ねる。
『……凄い、とはどういうことですか?』
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