過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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599:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:41:41.94 ID:0AsOA6Dxo

 文化祭の三日前、部室で配布する部誌の山を眺めてぼんやりとしている部長を見かけた。

「どうしたんですか」と俺が訊ねると、彼女はちょっと困ったように笑った。

以下略



600:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:42:12.53 ID:0AsOA6Dxo

「ときどき怖くなりませんか?」

 俺の質問に、部長はちょっと意外そうな顔をした。

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601:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:42:38.90 ID:0AsOA6Dxo

「でも、通り過ぎていくものばかりじゃないよ。傍にいなくなったからってこの世からなくなるわけでもない。
 連絡先さえ知ってれば、卒業してからだって音信不通になるわけじゃない。
 留まるものもあるし、新しくやってくるものだってある。なくなるのが怖いなら、なくさないようにしっかりと掴んでおかないとね」

以下略



602:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:43:05.19 ID:0AsOA6Dxo

「俺に教えたら、きっと後悔しますよ」

「……知ったら後悔するようなアドレスなの?」

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603:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:43:42.35 ID:0AsOA6Dxo

「いや、でも二年のときは部長じゃなかったし」

「先輩って呼んでました」

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604:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:44:08.83 ID:0AsOA6Dxo

「それでも、もう部長じゃなくなるんだから……部長って呼ぶのは、変ですよね」

「うん。でも、まあ。好きに読んでよ。あ、赤外線のデータで名前も表示されるっけ」

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605:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:44:57.25 ID:0AsOA6Dxo



 文化祭の前日、俺が家に帰ったときには時刻は夕方五時を過ぎていた。
 
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606:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:45:24.01 ID:0AsOA6Dxo

 それでも妹は、「おかえり」と震えた声で返事を寄越して、顔をあげてくれた。

 どうかしたか、と訊こうとした。でも、訊いていいのか分からなかった。
 訊いて俺にどうにかできることなのか、分からなかった。自分が何かの役に立てるかさえ分からない。
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607:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:45:51.92 ID:0AsOA6Dxo

「……何かが不安?」

「ちょっと違う」
 
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608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:46:19.74 ID:0AsOA6Dxo

 俺は妹のところに歩み寄って、枕に顔を埋める彼女の頭を少し撫でた。
 そんなことをしている自分に嫌気が差した。いつものような自己嫌悪が、俺の心を支配する。

 でも今は、俺の気持ちなんかより、妹をどうにか楽にさせてやりたかった。
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