過去ログ - 吸血少女と待つ夜明け
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118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:17:51.41 ID:EaOumZa8o

 ホテルを出るとき、フロントの男はいなかった。
 これからやろうとしていることを考えれば鉢合わせなかったのは幸運だった。

 僕はまだ開いていた旅行用品店に入り、大きなキャリーバッグを買った。
以下略



119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:18:25.62 ID:EaOumZa8o

 僕が彼を襲うのは日ごろから不当に低く扱われた恨みによるもので、他の動機は全くない。
 それが、そう思われるのが何よりも重要だった。
 間違ってもヒナにとばっちりが行くことになってはいけない。

以下略



120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:19:12.69 ID:EaOumZa8o

 独特の、鈍い手応えがした。
 うめくような悲鳴を上げて男が倒れた。
 やった。と思った。これで人間一人分の血液が確保できる!

以下略



121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:20:12.03 ID:EaOumZa8o

 日ごろからこいつにむかついていようと。
 吸血鬼の少女が血に飢えていようと。
 それを助けるためにどんな決意を固めようと。
 そんなものは関係ないのだ。
以下略



122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:20:50.60 ID:EaOumZa8o

 ホテルの三階のいつもの部屋で、真っ暗なその部屋で、ヒナは月明かりを浴びて眠っていた。
 美しい光景で、僕はそれを見ているだけで何故か涙があふれた。
 僕はもう、そこに立ち入ることも、彼女に触れることもできないんだ。

以下略



123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:21:37.56 ID:EaOumZa8o

「別に」
 僕は平板に答える。
「君のことは関係ない。僕はあいつが大嫌いだったから」
「ごめん」
以下略



124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:22:09.42 ID:EaOumZa8o

 僕の身体の震えがおさまって落ちついてから。
 僕は彼女に一つの提案をした。
 彼女はそれを黙って聞いていた。

以下略



125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:22:51.93 ID:EaOumZa8o

「もう大丈夫なのか?」
 フロントの男は怪訝そうな顔で僕たちを見た。
「うん、もう平気だよ」
 血色の良くなったヒナが笑って答えた。
以下略



126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:23:32.52 ID:EaOumZa8o

「それじゃあ僕も」
「ちょっと待て」
 フロントの男は僕に何かを放った。
 僕はそれを不格好にキャッチした。
以下略



127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:24:14.72 ID:EaOumZa8o

 古いセダンに乗り込みながら彼女にそのことを言うと、ヒナはくすくすと笑った。
「知ってる? あの人にも昔娘がいたんだって」
「へえ」
「小さい時に病気で亡くなったらしいんだけど。名前がヒナコちゃんだとかで」
以下略



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