過去ログ - 貴音「運命には抗えぬのです」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/29(火) 02:57:02.64 ID:kWQTiV4f0
似非ファンタジーアイマスSSです。
どうぞ宜しくおねがいします

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 02:58:23.15 ID:kWQTiV4f0
ナムコ皇国とクロイ帝国の戦争は熾烈を極めていた。
両陣営共に決定打を欠き、時間だけがただただ過ぎて行くばかりである。なにか決定打は無いのか、兵士たちも疲労していくばかり、このままでは共倒れだ、そんな声が聞こえ始めていた。
長きにわたって続くこの戦いを終結に導くためナムコ皇国の上層部は有る男に依頼を出した。なんでもその男は凄まじく強い兵士を匿っているようで、その兵士は一騎当千の力を持っているとされていた。


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 02:59:47.67 ID:kWQTiV4f0
「お任せください、私が育てた”コレ”を使えば必ずや我が国に勝利がもたらされるでしょう。」

 メガネの男は不敵に笑い依頼を快諾した。その後ろには美しい銀髪に端正な顔立ち一見すればただの少女が静かに立っていた。

「こんな小娘がなんの役にたつというのかね?」
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:00:59.84 ID:kWQTiV4f0
「皆さんどうか私を信じてください、報酬は後払いでも構いませんので。しかし約束していただきたいことがあります。」

「言ってみたまえ。」

「全ての戦闘は彼女に一任していただきたい、すなわち彼女には命令をしないでください。きっとその方が彼女の力が発揮されるはずです」


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:02:17.41 ID:kWQTiV4f0
 なんとも自信にあふれた男の口ぶり、さらに報酬は後払いでも構わないときた。約束が有るにしろ使い物にならなければ報酬など払わなければ良い、そんなことを考えながら上層部は彼女を使うことを決定した。

「良かろう、君の要求を飲むことにしよう。」

「有難うございます、さぁ貴音、自己紹介をしてごらん?」
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:03:01.59 ID:kWQTiV4f0
銀髪の少女は軽く自己紹介をしてみせた。男の後ろにいるときは分からなかったが、彼女の目は寒空に煌々と輝く満月の如くとても冷たいものであった。

 出生、生い立ち等など全てが謎に包まれている少女、分かっている事といえば名前ぐらい。しかし彼女がまさしく一騎当千の力を持っている事が知られるのにそう時間は掛からなかった。


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:03:50.19 ID:kWQTiV4f0
明くる日、早速彼女は戦地に赴いていた。彼女がいるのは最前線、最も戦いが激しいクロイ帝国との領土の境、何ヶ月も前から激しい戦闘が続いている言うなれば死地。

 「ここは私にお任せください。」


8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:05:21.61 ID:kWQTiV4f0
指揮を執る士官にそう言い残し彼女は戦いの真っ只中へと消えていった。真新しい光り輝く銀色の甲冑、腰には細身の剣が一振のみ、おおよそ激しい戦いになど到底向かない装備である。あまりに頼りない彼女の姿を見た味方の兵士たちは口々に言った。

「あんな娘っ子が生きて帰ってこられるわけがねぇ。」

「きっと気でもふれているんだろうさ。」


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:05:57.70 ID:kWQTiV4f0
そんな話をしていた途端、急に強い一陣の風が吹き、砂埃が辺り一面に広がった。辺りには金属と金属がぶつかり合う音と男のうめき声だけが響いていた。そんな中1分も経っただろうか、砂埃も落ちつき視界も晴れてきた。

「み、見てみろ!」


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:06:56.16 ID:kWQTiV4f0
急いで周りの兵士たちも目を凝らしてみる、そこには静かに揺れる銀髪、銀の甲冑を真っ赤に染めた彼女が立っていた。
周りにはすでに事切れているクロイ帝国の兵士たちが何百、いや何千と横たわっていた。
そして、まだ息のある兵士にトドメを刺そうというまさにその瞬間であった


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:07:45.33 ID:kWQTiV4f0
「や、やめてくれ、降参だ、命だけは・・・」

男は命乞いをしているのだろう、今にも泣き出しそうな顔で口をパクパクさせている。しかし、彼女は全く聞く耳を持たず、静かにこう言った。

「これはあなたの、そして私の運命なのです。」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:08:52.00 ID:kWQTiV4f0
四条貴音の噂は瞬く間に両国に広がった。
ナムコ皇国の民衆からはその活躍ぶりから救世主と、また自国の心ない兵士からは殺戮人形と揶揄されていた。
クロイ帝国からは死をも恐れぬ戦いぶりと畏怖を込めて銀の銃弾[シルバー・ブレット]と呼ばれるようになっていた。
四条貴音が戦いに参加してどれくらいの月日が経っただろう、彼女が参加してからというもの日に日にナムコ皇国の優勢が目立つようになってきた。
これもひとえに彼女の大車輪の活躍があってのことであろう。そんな彼女も連戦に次ぐ連戦で疲弊していたのか珍しく傷を負って帰還した。


13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:09:34.09 ID:kWQTiV4f0
「私にはお構いなく、この程度どうということありませんので。」

そう冷たく言い放つと自室に帰ろうとしていた、その時。

「待ってください!!あなたの噂は聞いています。とてもお強い方だと聞きましたが傷を負った兵士放っておくわけにはいきません!」


14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:10:24.64 ID:kWQTiV4f0
彼女が振り返るとそこには短く切られた髪をブラウンに染めた白衣の少女が立っていた。首からは[軍医 萩原雪歩]と書かれた名札を下げている。

「ご心配なく、あなたの手を借りるほどのことではございません。」

「そうはいきません!私にも軍医としてのプライドが有るのです。あなたは人を[ピーーー]のが仕事でしょうが私は人を治すのが仕事なんです。ここは引き下がれません!」


15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:11:36.30 ID:kWQTiV4f0
ここで貴音はあることに気付いた。見れば目の前にいる少女は体を小刻みに震わせており、自分を怖がっている様子である。

「どうしたのです?怖いのであれば近づかなければよろしいではありませんか。」

「嫌です!軍医になって日も浅くてダメダメな私ですけど、あなただけは放っておいたらいけないと思ったんです!」
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:12:38.13 ID:kWQTiV4f0
「おかしな方ですね、分かりました。そこまで言うのなら仕方ありませんね。」

貴音は彼女の診察を受けることにした。
診察を受けたかった訳ではない、むしろ診察をする彼女の方に興味がわいたのだ。
彼女は明らかに自分に対して恐怖していた、自分に恐怖する者の取る行動といえば命乞いか背を向けて逃げるものばかり、だから恐怖してなお自分に相対してきた彼女が不思議で仕方なかったのだ。


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:13:44.07 ID:kWQTiV4f0
「こ、こちらにどうぞ」

さっきの威勢はどこへ行ったのやら、頼りない背中の後を貴音はただ黙ってついて行った。程なくして簡素な診察室へとたどり着いた。

「まずはその甲冑を脱いでいただけますか?」
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:15:02.53 ID:kWQTiV4f0
甲冑を脱いだ貴音の姿に雪歩は唖然とした。彼女の透き通るような白い肌には無数のアザ、切り傷、やけどの痕など見るにたえない姿であった。

「な、なんでこんなになるまで放っておいたんですか!?もっと早く来ていただければそれなりの処置はしたのに・・・」

「なにをそんなに驚いているのです?私の傷など自国の勝利には取るに足らない代償、戦いの中で死ぬのならそれもまた私の運命なのでしょう。」
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:15:34.58 ID:kWQTiV4f0
ありがとうございました。失礼致します。」

それだけ言い残すと貴音は自室へと帰っていった。

 結局あまり会話をすることが出来なかった、しかし彼女を放っておいたらいつか取り返しの付かないことになる、雪歩の勘がそう言っていた。一晩中考えて雪歩はひとつの決心をした。


20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:16:24.75 ID:kWQTiV4f0
自室に戻った貴音もやはり彼女のことが気になっていた。
なぜ彼女は自分の姿を見て驚いていたのだろうか、戦場での傷は当然の事、戦場での死も当然の事、軍医である彼女がそんな事を知らないはずがない。
ならば彼女はなぜあんなに驚いていたのか。
自分の言動、姿にどこか問題でもあったのだろうか。
考えてもわからない。そしてふと気がついた。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:17:06.04 ID:kWQTiV4f0
ナムコ皇国はその後も一気に攻勢に転じ、クロイ帝国をじわじわと追い詰めていた。

そして次の遠征から兵士達が帰ってきた時、雪歩は真っ先に駆けつけ貴音の姿を探した。きっとまた無茶をして帰ってきているに違いない、雪歩には確信があった。程なくして銀色の甲冑を真っ赤に染めた彼女の姿をみつけた。

「四条さん!!」
以下略



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