過去ログ - サスケ「何で俺を連れ戻しやがった……!」
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10:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:19:40.72 ID:LFgMt1P+0
もうすっかり傷もふさがった俺は、カカシの病室の前で立ち尽くしていた。なんと言って謝ればいいのか分からない。どんな顔をすればいいのかさえ分からなかった。

それほど経たない内に、聞き慣れた声が室内から響く。

「そんな所で何やってんだ?」
以下略



11:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:21:15.71 ID:LFgMt1P+0
カカシの目に光は戻らなかった。このことにはどんな形であれ、触れてはいけなかったのだ。俺は最低な形で傷口を抉ったのだということを理解するだけに終わってしまった。

勝手に自責の念にかられる俺に、カカシが終了の合図をかける。

「サスケ、悪いけど体起こすの手伝って くれる?」
以下略



12:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:24:03.71 ID:LFgMt1P+0
ナルト達に誘われて、俺は再び病室を訪れた。空のベッドに一瞬ぎょっとしたが、体調が良いときは歩くことも出来ると言っていた。きっとトイレにでも行っているのだろう。

カカシを待つ間、穏やかな時間が流れる。あれだけの態度をとった俺を、ナルトとサクラは当たり前のように会話に混ぜてくれた。

しかし、その時間が長くなるにつれ俺達は不安を感じるようになっていった。カカシがいつまで経っても病室に戻って来ないのだ。もしかしたらどこかで倒れているのかもしれない、ナルトがそう口にしたのを皮切りに、俺達はカカシを探し始めた。
以下略



13:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:26:33.60 ID:LFgMt1P+0
俺達は手がかりを求め、ガイの家に来ていた。オビトの話を教えてくれた上忍というのもガイだ。そして、カカシの行方に関して快く話してくれた内容も、オビトの事だった。

今日はそのうちはオビトの命日だったらしい。毎年欠かさず慰霊碑に向かっていたから、今日も慰霊碑の前にいるだろうと教えてくれた。しかし、そっとしておいてやれと追うのはやんわり止められた。

それでも俺達はガイの忠告を無視し、慰霊碑へと向かった。嫌な胸騒ぎが収まらなかったのだ。この演習場を見ると最初の演習を思い出す。仲間を大切にしない奴はクズだと、カカシはどんな思いで言ったのだろう。
以下略



14:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:28:19.92 ID:LFgMt1P+0
しばらくして、病院に駆けつけたガイに殴られても、カカシはもう何も言わなかった。残った右目は虚空を見つめ、誰の姿も映してはいないようだ。誰がこの地獄からカカシを救い出せるのだろう。

どんなに俺が謝っても、カカシの体は元に戻らない。忍者としてだけでなく、何気ない日常すら送れないのだ。少なくとも、俺にはどうすることも出来ない。ガイにもナルトにもサクラにも、恐らく無理だろう。

俺が里を抜けようとしなければ、こんなことにはならなかった。どうしようもない後悔ばかりが頭を埋め尽くし、ベッドに力なく横たわるカカシを見つめる事しか出来なかった。
以下略



15:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:30:17.67 ID:LFgMt1P+0
どうやったのか綺麗に取り出されていた写輪眼は、再びカカシの左目に収まった。反対する者も少なからずいたが、火影はさらりと受け流し自ら処置を行ってくれた。

しかし、カカシは何の反応も示さなかった。怒りも喜びもせず、ただぼんやりとしているように見えるが、事態はもっと深刻だった。ボロボロの経絡系がチャクラの流れを乱し、ずっと幻術にかかっているような状態なのだという。

回復は難しい、そもそも意識を保っていられたのさえ奇跡だと、口を揃えて言われても俺たちの決意は変わらなかった。
以下略



16:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:32:03.62 ID:LFgMt1P+0
大蛇丸を何とか追い返してから数日後、俺達はまた病院にやって来ていた。あの戦いが嘘だったかのように、病室の穏やかさは変わらない。

「アンタねぇ……お見舞いにユリの花は駄目なのよ」

「なんでだよ。何か綺麗でいいじゃん」
以下略



17:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:36:27.64 ID:LFgMt1P+0
今日も俺は病室の扉に手をかける。既に室内に居たナルトとサクラが、カカシと楽しそうに話していた。俺は驚きつつも嬉しくて、三人に駆け寄る。

「元に戻ったのか!」

「戻るわけ無いでしょ。お前のせいで俺は死ぬしかない」
以下略



18:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:37:54.77 ID:LFgMt1P+0
地獄の団子事件から更に一年半が経ち、 病室のドアを開けると、サクラがニヤニヤしながら待っていた。

「なんだよ、気持ち悪いぞ」

「なぁ、サスケも来たんだし早く教えて くれよ!」
以下略



19:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:40:09.27 ID:LFgMt1P+0
俺が里を抜けようとした時から、もう三年が経った。

俺達は修行と任務に励み、全員中忍試験に合格する事が出来た。サクラの医療忍術の腕も格段に上がり、覚えたての頃から毎日根気よく治療を続けた結果、皆が匙を投げたはずのカカシは、ボロボロだった経絡系は見事に修復され、体の衰えとチャクラの乱れを除けば健康体と言って良いほどに回復していた。

これには火影も驚き、サクラを誉めちぎっていたのは半年も前の事だ。未だに俺達はカカシの笑った顔を見ることが出来ていない。相変わらず焦点の定まらない右目は、俺達の方を向く事すらない。小さな糸口でも見逃さないよう、反応が あったと勘違いしては一喜一憂を繰り返した。
以下略



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