21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:43:18.45 ID:UxR6K1hvo
再び川沿いに出る。
向こうに小学校よりも大きな影が見えた。
小山のように見えるそれは川をふさぐようにそびえていて、最初はダムかな、と思った。
看板表示が出ているけれどよく読めない。
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:43:58.84 ID:UxR6K1hvo
シナノが商品を選んでいる間、ぼくは雑誌のコーナーで立ち読みを始めた。
こういったけばけばしいものは読み慣れていないのだけれど、夜の雰囲気は人の行動を少しだけ変化させる。
買い物を終えたシナノがこちらにやってきて横から紙面を覗き込んだ。
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 22:44:48.06 ID:UxR6K1hvo
コンビニを出ると再び雪がちらつき始めていた。
風も少し吹き出している。
「寒いね」
シナノがぶるっと身体を震わせたので、ぼくは懐からカイロを取り出した。
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/23(月) 22:45:20.77 ID:UxR6K1hvo
つづく
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:17:46.54 ID:g5QUex70o
相変わらず右手には川と土手があり、コンビニを離れると田んぼや畑が左手に広がった。
暗いのも相変わらず。
でも時計を見るといつの間にか八時をまわっていて、そうなるとなんとなく闇がさっきよりも濃くなっている気がしてくる。
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:18:38.18 ID:g5QUex70o
ぼくは何の気なしに答えようとして、ふと答えられないことに気づいた。
「……どこだろう」
「わかんないの?」
「考えてなかった」
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:19:06.64 ID:g5QUex70o
「じゃあなんで歩いてるのさ。こんな夜に」
「寒いのにね」
「おまけに暗い」
「だからじゃない?」
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 19:19:33.98 ID:g5QUex70o
彼女の言っていることが分かったわけではないけれど、
むしろもっと分からなくなったのだけれど、なんだか分からないということがシナノという少女そのものな気がしたのだ。
「寒いねえ……」
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:00:17.28 ID:EWTP6gU8o
夜の闇がまたもう少し濃くなった頃、もう一人同行者が増えた。
「じゃあお前たちは知人同士ってわけじゃないのか」
彼はそう言って陰気な顔でなるほどと頷いた。
「確かにそういう雰囲気じゃないな」
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/27(金) 22:00:44.04 ID:EWTP6gU8o
「まずくはないだろ別に」
「何かまずいの?」
シナノにまで訊かれることになって、ぼくは少し恥ずかしくなった。
まるでぼくだけいやらしい奴みたいじゃないか。
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