39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/28(土) 05:50:00.75 ID:YmJTGkrvo
「きっと全部吹き飛ぶぜ」
「全部って全部?」
「ああ。世界中のガスタンクに飛び火して、全部が全部ブッ飛んじまう」
「それちょっとよさそう」
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/28(土) 05:50:31.56 ID:YmJTGkrvo
「どうしてだ?」
セミが訊いてきた。
表面上は特別感情はこもっていないが、どこか脅しめいたものを感じた。
「どうしてそう思う?」
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/28(土) 05:51:15.71 ID:YmJTGkrvo
それでもぼくはぼくの家のインコを守らなければならなかった。
ぼくにとってあいつは換えなんてきかないし、いなくなったら困る。
不格好に走り寄ってきて小首を傾げてこちらを見上げる様子が、ぼくは好きだ。
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/28(土) 05:52:08.18 ID:YmJTGkrvo
しばらく沈黙があって、風の音がよく聞こえた。
ぼくは考えがまとまらなかったが、それでもがむしゃらに「でも」と吐きだした。
絞るような声だったけれど、それでも必死だった。
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/28(土) 08:49:10.15 ID:5eFxc4Zl0
おっつっつ
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/28(土) 23:53:40.01 ID:eTy6bgsOo
いい文章だ
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:52:10.35 ID:yF05ZdXHo
「歩こうよ」
不意にシナノが言った。
「歩こう。ね?」
そして足を引きずって自分から歩きだす。
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:53:28.05 ID:yF05ZdXHo
もしかして、とぼくは思った。
もしかして、人間は夜に生きる術を失ってしまったからそんな感覚を覚えるのではないか。
かつては夜行性でもあったかもしれないが、人間は太陽に魅了されその下に生き、月との触れ合い方を忘れてしまったのかもしれない。
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:54:15.50 ID:yF05ZdXHo
「ねえ」
口を開いたのはまたしてもシナノだった。
「なんか聞こえない?」
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:54:44.02 ID:yF05ZdXHo
急にアスファルトが途切れた。
砂の柔らかい感触が靴裏に感じられ、沈み込むような不安定を覚える。
シナノが酷くよろめいたのでぼくは手を貸して支えた。
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:55:14.54 ID:yF05ZdXHo
正直暗くてほとんど見えたもんじゃなかったけれど、海は確かに小さく開けた浜にあった。
月のかすかな光を反射して、いくつもの波がテトラポッドの集まりに押し寄せていた。
結構高い波だ。油断すると弾けた飛沫がこちらにまで飛んでくる。
56Res/30.54 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。