1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:47:09.86 ID:UHZTgUVzo
「プロデューサーさん知っていますか?」
アイドル生活を始めて1年ちょっとが経った冬の季節。クリスマスイベントを先駆けたり、2周年記念のイベントをやったりと大忙しな時期に差し掛かった頃。
事務所の仲間は忙しそうに各所を駆け巡っているけども、自分の山場は終えてしまったので時々こうして事務所にいる担当プロデューサーさんにちょっかいをかけている。
「なにが?」
こちらを一瞥もすることなく、キーボードを叩き年末年始のスケジュール調整を慣れた手つきで行っている男性こそがボクのプロデューサーさんである。
「12cmの距離です」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:47:38.44 ID:UHZTgUVzo
いつものように、ふふん、と鼻を鳴らし、プロデューサーさんの顔を覗く。精悍な顔立ちとはほど遠い、男性にしては少し幼気ある顔立ち。長い前髪、黒ぶちのメガネ、その奥にある疲れきった瞳。そして決してかっこよくはない風貌。
プロデューサーさんは不機嫌そうな顔をしてようやくこちらを向いた。
「……だから?」
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2013/12/26(木) 02:48:06.74 ID:UHZTgUVzo
「そんなに気にすることですか?」
「気にするものだ」
「いいじゃないですか――」
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2013/12/26(木) 02:49:01.82 ID:UHZTgUVzo
「――ボクから見てもカワイイと思いますよ、154cm」
「だからぁ!!」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:50:20.78 ID:UHZTgUVzo
――――
――
―
「プロデューサーさんは小さくて困りません?」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:51:01.91 ID:UHZTgUVzo
「それで、一体何が聞きたいの? からかってるだけならもう付き合わないよ」
「ああごめんなさい、ただわからないんですよ」
「わからないって、何が」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:51:41.47 ID:UHZTgUVzo
プライド、自信、そんな言葉をボクの前で言いたくは無かったのだろう。だけども、ボクにとってはちっぽけなものでも彼にとっては大きなものなのかもしれない。
「身長にプライドを割くなんて、可哀想ですね。ボクのプロデューサーとして自覚ないんじゃないんですか?」
「ご、ごめん」
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2013/12/26(木) 02:52:07.57 ID:UHZTgUVzo
そう言うとプロデューサーさんは立ち上がり、話が長くなりそうだからといって給湯室に入っていった。紅茶で良いかという少し張った声に、反射的にお願いしますと答える。
プロデューサーの淹れる紅茶は嫌いではない。昔に齧った程度の知識らしいのだけど、普通にボクが淹れるよりかは美味しい。それがまた、女の子としても悔しいところだったりする。
ソファーにもたれかかりながら、プロデューサーさんを待つ。部屋の中は暖かい。冬のこんな時期だというのに、暖かいというのは幸せなことなのだろう。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:52:35.29 ID:UHZTgUVzo
「何やってるの?」
「ひゃ、ひゃい!?」
突然かけられた声に素っ頓狂な声をあげて、後ろを振り向く。盆の上にポットとカップを載せ、俄然悠然と立っているプロデューサーさんだった。
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