16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:26:39.83 ID:lf+VB/Zqo
「どうしても教えてくれないんですか」
「どうしても教えることは出来ない」
とある事務所の前で凛とその事務所のプロデューサーが対立する。
泰葉の引退を知った凛はどうしてアイドルをやめるのか聞きたくなり、かつて
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2014/02/15(土) 00:27:06.56 ID:lf+VB/Zqo
「泰葉が何週間一位だったか知ってるかい?」
案内された部屋の椅子に座るとそれまで無言だったプロデューサーは話し始めた。
「いえ……でも私がアイドルを始めて一年間はずっと一位だったと思います」
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2014/02/15(土) 00:27:33.47 ID:lf+VB/Zqo
彼女の苦痛を今の凛が分かち合うことは出来ない。少し前まで凛も苦しんでは
いたが彼女の比ではないだろう。そんな重圧の中で凛はステージで踊り、微笑
むことは出来るだろうか。
カン、と何かが落ちる音がした。階段を下っているときに何か落としたのかと
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2014/02/15(土) 00:27:59.60 ID:lf+VB/Zqo
「え、何」
「いいから」
引っ張られるがままに暗い廊下を走っていく。後ろから聞こえてくる足音は段
々と遠くなりそのうち聞こえなくなった。
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2014/02/15(土) 00:29:01.55 ID:lf+VB/Zqo
数日後。作戦は決行された。作戦とは言うものの事はとても単純なものだ。
当日。幼いほうの凛が普通の凛として事務所に向かう。そしてお昼時になった
ら他の二人とプロデューサー、そしてちひろを連れ出すというものだ。おそらく
中に無人となったら事務所のカギは閉められる。なので普通の凛は前日より事務
所の凛専用ロッカー内に潜む事になった。もしも二人の凛が同時に見つかったら
21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:29:27.82 ID:lf+VB/Zqo
「え……?」
凛はファイルのページを一気に捲る。そして投げ捨てて次のファイルも取り出す。
それも同じように捲り、投げ捨てる。また次のを取り出す。
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2014/02/15(土) 00:29:53.82 ID:lf+VB/Zqo
「さてと、お話しましょうか」
その日の夜。凛の家にちひろはやってきた。
あの後、凛は自室に帰るように命令され、傷の手当をした後、そのまま部屋に
篭っていたのだ。
23:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:30:19.99 ID:lf+VB/Zqo
「その痛みも我々がかけた制限によるものです。とりあえず話す上で邪魔なので
あなたのは外しました。とは言ってもすぐに全ては思い出せないでしょうけど」
「私は……誰なの?」
「回答は二つ。今のあなたである渋谷凛はかつて存在したアイドルの一人です。
そして本来のあなたはこの世界に住むただの人間の一人です」
24:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:30:45.85 ID:lf+VB/Zqo
世界征服? 洗脳? 最適化? 可能性?
凛の頭の中をバラバラの単語が巡る。意味のなす文章にはならない。
「アイドルを崇拝させるにしても生半可な人ではいけません。それこそ世界中を魅了
するぐらいの潜在能力を秘めた人が必要になります。そこで白羽の矢が立ったのが
25:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:31:11.69 ID:lf+VB/Zqo
「……外を見たい」
その言葉が出てきたのはなぜかわからない。ただ凛はそう思ったのだ。
「外、ですか」
26:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:31:37.90 ID:lf+VB/Zqo
「車とか、ないんだね」
暗い空の下。呼吸するたびに凛の肺の中に今まで味わった事のない空気が入り込む。
体内に貯まった空気が出て行くたびに頭の中にあったものが蘇っていく。
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