10: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:17:15.56 ID:iWvh8kZB0
少女「九人を殺せばいいんですよね?」
九人。多いのか少ないのか、いまいち実感しにくい人数です。私のクラスが三十四人で、その四分の一……そう考えると案外多いような気がしましたが、何も全員私が殺さなければいけないわけでもないのでした。
最後の一人になればいいということは、畢竟、引きこもっていたほうが有利。でもきっとその考えには全員が思い至ります。すると誰も死なない……なんというジレンマでしょうか。
11: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:18:10.42 ID:iWvh8kZB0
吐息がどす黒いぬいぐるみに言われたくはないです。けれど隠すほどのことでもないでしょう。
そもそも、こいつら、絶対知ってる。またまたの茶番だ。
悪趣味なクソめ。
12: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:18:51.64 ID:iWvh8kZB0
赤いブルマと白いスニーカーが、蛍光灯の光に映えていました。
時代錯誤すぎるそれを身に着けているのは一人の女の子。ポニーテール。体操服。羽織っているのは臙脂色のジャージ。胸元には大きく名前の刺繍。
何を考えてるんでしょうか、今、時刻は日付変わりかけてるんですけど?
13: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:19:37.25 ID:iWvh8kZB0
視界に白い運動靴が映りました。見上げれば、蛍光灯を背景に、体操服が影に覆われて私を見下ろしています。
そうして、クラウチングスタートの体勢を取りました。
逃げないと、早く、逃げないと!
14: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:20:15.05 ID:iWvh8kZB0
とはいえあの速度を鑑みるに猶予はあってないようなもの。私は咄嗟に部屋から武器になるようなものを探して、壁材に紛れて落ちていた彫刻刀を手に取ります。
ぶち壊した壁を再度突き抜けて、体操服が部屋へと飛び込んできました。彼女の体や顔には沢山傷ができています。壁に突っ込んだときのものなのでしょう。
15: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:20:40.49 ID:iWvh8kZB0
大きく顔が打ち上げられ、思わず彫刻刀は取り落とし、破壊された天井と、そこからちょっとだけ見える星空が、いや、違って、
視界がちかちかする!
16: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:22:14.64 ID:iWvh8kZB0
体操服はそこでようやく、胸を押さえました。「ぐ」と短く小さな呻き声を上げて、そのまま膝から頽れます。
少女「足、止まってますよ」
17: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:23:09.33 ID:iWvh8kZB0
少女「早くなおして欲しいものですけど」
体も、部屋も。
18: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:24:02.54 ID:iWvh8kZB0
大きく伸びをして、激痛に思わず屈んでしまいました。声も出ない、とはまさにこのこと。全身が痛くてどこが痛いのかわからないくらいです。
唐突に、闇夜にあって一際大きく着信音が鳴り響きました。私のものではありません。ということは、この体操服のものでしょうか。
19: ◆yufVJNsZ3s
2014/04/17(木) 22:24:28.66 ID:iWvh8kZB0
まだ着信は鳴っています。まるで私が出るのを待っているかのように。
少女「『天網恢恢疎にして漏らさず』」
235Res/273.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。