197: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:06:17.15 ID:VukTWdSA0
お互いの言葉に押し出されるように走り出していた。
木刀と拳がぶつかり合う。
流石に木刀の硬度に拳が勝てるはずはない。拳のひしゃげる音が響くのだけれど――
198: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:06:53.65 ID:VukTWdSA0
これはやばい!
左腕が肘の先から消失する。金髪の腹部が咀嚼し満足そうにげっぷ。俺は失った左手を確認するより先に右手だけで木刀を再取得、短期決戦を挑むべく走りこんだ。
あぁ、廊下が俺の血で滑りやがる!
199: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:07:26.80 ID:VukTWdSA0
だが俺は慌てない。この状況は予想済みだ。すぐさま反撃が跳んでくることを念頭に置いておけば、とかく怖いことはない。
それよりも距離を離すことが今は悪手。一瞬で再生などしないのだから、それまでこいつの左側は防御が脆い。無論それは俺だって同じだけれど。
ハイキックが確かに金髪の顎を捉える。
200: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:08:12.25 ID:VukTWdSA0
残った右手が詰襟の襟首を掴んでくる。そのまま投げの体勢に。
合わせれば重心が崩れた。そこを足が払われる。
落ちる速度を利用し、そのまま蹴り。まるでカポエイラの要領で腹部を蹴るが、金髪は一瞬怯んだきりでそれ以上の効果を見せない。
201: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:08:43.83 ID:VukTWdSA0
詰襟「……」
金髪「……」
202: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:09:12.80 ID:VukTWdSA0
詰襟「それだ」
金髪「それか」
203: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:10:04.44 ID:VukTWdSA0
最後に何か、聞いてはいけないような、聞くべきではないような、そんな遺言を授かってしまったような、そんな気分だった。
とはいえ、果たして俺が生きていられるのか、そこが問題だ。
最後の金髪の攻撃は、確実に俺を殺す一手。
204: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:10:36.95 ID:VukTWdSA0
ムム「あぁ、だってそりゃ消すよ。死んだ人は死んだんだ。残したりはしない」
詰襟「……巻き添えを食らったやつらもか?」
205: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:11:10.17 ID:VukTWdSA0
詰襟「なら、待てばいいのか?」
ムム「それもたるいよね。観客も、飽きるだろう。ボクたちも時間を跳躍するよ」
206: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/23(水) 12:11:41.20 ID:VukTWdSA0
「……」
同情しているのだろうか? 俺が? らしくもない。
ただ、ここでこいつを殺すことが、正義に悖るとは思わなかった。
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