過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 20:59:47.11 ID:3dnvgWSh0
 モバマス、結城晴のSSです
 少しのあいだ、お付き合いいただければ幸いです

 【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
 【モバマス】「橘ありすの電脳世界大戦」
 【モバマス】「こんなにも幸せな傷あと」
 と、同じ世界観の話です

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:00:33.83 ID:3dnvgWSh0
 きゅうじゅうなな、きゅーじゅーはちっ、きゅーじゅーきゅうっ、

「ひゃーくっ!」

 ふっと鋭く息を吐き、オレはひときわ強く、真上にサッカーボールを蹴り上げる。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:01:14.21 ID:3dnvgWSh0
 にじゅうさん、にじゅうし、にじゅうご、と頭の中で口ずさむ。

 試合待ちの暇つぶしに始めたリフティングだったけど、なかなかどうして、奥深い。

 クラスの子たちを置き去りに、リフティングしながら、グラウンドの隅を歩いていく。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:01:57.44 ID:3dnvgWSh0
 強めにボールを上げて、くるりとターン。

 落ちてきたボールを……よし、膝で蹴るのが間に合った!

 それをさらに足の甲で弾いて、もういっちょ!
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:02:56.16 ID:3dnvgWSh0
 放課後、校門から離れた花壇のところで、佐城の姿を見かけた。

 土の上にハンカチを敷いて、そこにひとり、ちょこんと腰かけてる。

 膝の上に、たぶん野良の、白猫。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:03:51.00 ID:3dnvgWSh0
「アイドルぅ?」

 変な声が出たよ。

「そう……。だけど……お仕事……ずっと……お休みしてた」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:05:24.99 ID:3dnvgWSh0
「オレが悪かったよ。無理して答えなくて、いいからさ」

 佐城は、制服の袖で目元を拭うと、弱々しく首を横に振る。

「……辛かった。……ずっと……ずっと……。いつも……いつも……」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:06:05.66 ID:3dnvgWSh0
「今の話さ、学校のやつらは知ってんのか?」

「話すの……これが……はじめて」

 涙に濡れた目が、こっちを向いた。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:06:40.48 ID:3dnvgWSh0
 昼休み、手提げカバンを持って、そそくさと教室を後にする。

 渡り廊下を越えて、細長い校舎の、いちばん奥の部屋。

 そうっと扉を開けると、本独特の匂いが鼻を刺激した。
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:07:21.43 ID:3dnvgWSh0
 しばらくして、本を手に戻ってきたかと思うと、ひとつ向こう側のテーブルに座る。

 佐城はすぐに、読書に集中し始めたけど、オレは気が散って仕方ねぇよ。

 雑誌は隠しちまったし、退屈ったらありゃしねぇ。
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:07:54.39 ID:3dnvgWSh0
「結城さん、これから時間ある?」

 放課後、荷物をまとめてたら、後ろから声をかけられた。

 同じクラスの……名前が出てこねぇ。
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:08:24.33 ID:3dnvgWSh0
 玄関から出ると、グラウンドでサッカーの練習をしてるやつらは大勢いた。

 オレのクラスだけってわけじゃ、なかったんだな。

 そうだよな、オレもう、最終学年なんだよな。
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:08:57.19 ID:3dnvgWSh0
 休み時間だからって椅子に背中を預けて思いっきりだらけてたら、ひっくり返りそうになったよ。

 教室の扉の陰にちょこんと、見覚えのあるお嬢様が立ってやがったからな。

 突然現れた下級生に気づいて、教室内が少しずつざわめき始めている。
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:09:38.27 ID:3dnvgWSh0
 週末、佐城にもらったチケットに書かれた場所に向かったよ。

 駅から少し外れたところにある多目的ホールってことらしい。

 会場が近づくと、明らかにライブイベントに来たって分かる大人たちが増え始めて、自分が出るわけじゃねぇのに、とんでもなく緊張してきた。
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:10:11.72 ID:3dnvgWSh0
 ステージにふっと新たな光が射して、赤色のドレスを着た女の子が佐城の隣に現れる。

 自分の存在感を主張するみたいに、堂々と胸を張るその子は、ばつぐんに綺麗な顔立ちをしてやがる。

 自分を可愛く見せる方法を知ってるっていうのかな、手袋をはめた手を胸に当てたり、ウインクをして見せたり、計算なんだろうけど、本当に可愛いのがしゃくだよな。
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:10:42.88 ID:3dnvgWSh0
 イベント後、ライブの興奮も冷めやらないままに、オレは楽屋に向かう。

 いったんは警備員の人に止められたけど、事前に佐城が話をしてくれてたから、すぐに通してもらえたよ。

 楽屋に入ると、佐城と、例の桃華って子が、椅子に座って、衣装のままで楽しそうにお喋りをしてた。
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:11:17.53 ID:3dnvgWSh0
 ふたり取り残されて、しん、と静まり返る楽屋は、なんだか居心地が悪ぃよ。

「最近、雪美は学校でのことをすごく楽しそうに話してくれますの。それもぜんぶ、結城さんのおかげですわ。雪美に代わって、感謝申し上げますの」

「別に、あんたにお礼を言われるようなことじゃねぇよ」
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:12:05.90 ID:3dnvgWSh0
 あの後、櫻井から名刺を渡されて、何かあれば連絡をくれって言われたよ。

 何かって何だよって思ったけど、まあ、ありがたくもらっておいた。

 あの日から、佐城はちょくちょく、オレのクラスに出没するようになった。
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:12:34.73 ID:3dnvgWSh0
 ……なあ、雪美。

 オレたち、もう一年、早く出会えてたら良かったって、そう思わねぇか?

 そしたら、お前が苦しんでた時、いくらでも助けになってやれたのにさ。
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:13:14.33 ID:3dnvgWSh0
 ああ言った手前、オレは勇気を振り絞って、クラスの子に声を掛ける。

「今日からオレも、練習に参加するよ。今さらだけど、平気か?」

「うん、大歓迎だよ! 色々教えてね!」
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:13:46.77 ID:3dnvgWSh0
 雪美がキョドー不審に辺りを見回しながら、木の裏に隠れる。

 グラウンドの方にそーっと顔を覗かせようとしたところで、背後から肩を叩いたよ。

「誰か捜してんのか?」
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