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2014/05/05(月) 19:13:53.82 ID:wBxpcr1o0
都内ならどこにでもある雑居ビルの3階を訪れた私は、旧友の男にとある頼み事をしにきた。
狭い事務所は、人の背丈ほどのパーテーションで区切られただけで、応接間と言うのもおこがましい物だが、この事務所の雰囲気と、その主を見ていると、その方が落ち着く。
「ああ、音無君、いつもの番茶じゃなくて、玉露で頼むよ」
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2014/05/05(月) 19:16:00.35 ID:wBxpcr1o0
執務を終えて家へ帰り付くと、早速新堂から面白い報告が入った。
「そうか、伊織は765プロに入ったか」
「しかし、よろしいのですか?」
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2014/05/05(月) 19:16:54.68 ID:wBxpcr1o0
あれから数ヶ月。
伊織は、 私の予想よりもアイドルというものに入れ込んでいるようだ。
だが、まだまだデビューまでは程遠い。
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2014/05/05(月) 19:18:06.88 ID:wBxpcr1o0
その日の夜、伊織が私の部屋を訪れていた。
この部屋に伊織が入るのは久しぶりかも知れない。
いや、伊織と顔を合わせて話すこと自体が、久し振りだろう。
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2014/05/05(月) 19:18:32.89 ID:4DTnkYBK0
sagaは?
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2014/05/05(月) 19:18:41.76 ID:wBxpcr1o0
「それだけの事だ。お前は水瀬の令嬢として、水瀬グループで働き、水瀬グループの後継者一族として、経営に参画していった。それだけだ」
私の言葉に、伊織は何も答えなかった。
だが、伊織なりに何かを感じ取ってくれたのかもしれない。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/05(月) 19:23:12.63 ID:wBxpcr1o0
それから、また大分経った頃だった。
伊織達は、誰が見ても人気のアイドルとして芸能界を席巻していた。
わずか一年と少しでここまで上り詰めたのは、伊織達の実力か、はたまたあのプロデューサーの手腕か、運なのか。
庭の木々が色づき始めた頃に、私がいつも通りに今日の予定を新堂へ問うと、私の予想もしない答えが返ってきた。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/05(月) 19:24:41.53 ID:wBxpcr1o0
「おお、きてくれたのかい」
「高木の差し金か?」
「何のことかね?」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/05(月) 19:28:11.44 ID:wBxpcr1o0
「こちらです」
扉の奥は、薄暗いアリーナ。
ライブの開始前の熱気に、空調が効いているはずなのに、汗ばむ様な温度だった。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/05(月) 19:30:57.29 ID:wBxpcr1o0
萩原さんが言い終えたタイミングで、緞帳の向こう側に13人のシルエットが映る。
ピアノから始まる前奏に合わせ、アリーナ全体が揺れるような声で、ファンの声援が鳴り響く。
緞帳が上がりきり、伊織達が階段を駆け下りてくる。
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