11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/28(水) 21:25:03.42 ID:ymNkNJOMo
川面を見下ろすと鴨が泳いでいた。
こちらと同じく川を下るコースをとっていて、ケイはしばらく速度を合わせて歩いた。
動物はいいなと思う。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/28(水) 21:36:44.61 ID:ymNkNJOMo
不意に声が聞こえた。
顔を前方に向けると、道の先で数人の少年たちが立ち止まり何やら笑いあっているのが見える。
こちらと同じく学校帰りのようだ。
ケイは再び気分が沈むのを感じた。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 22:09:25.17 ID:xDUPc/wNo
山腹の木々の間から鳥のさえずりが聞こえた。
ケイは後ろ、それから周りを確認してようやく肩から力を抜いた。
やはり生きるのに向いてないのかもしれない。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 02:00:14.91 ID:61yC03xwo
時期によってはそれなりに車通りはあるのだが今は一台も見えない。
薄灰色の道が山を上って木々の中に消えていた。
じいっと眺めていたがやはり車は来なかった。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 02:00:42.77 ID:61yC03xwo
少しばかり背伸びをして見下ろすと、ぼさぼさの後ろ頭が見えた。
道路脇の窪地に男が座り込んでいた。
男は黒く丈の短いコートを着ていて、その裾からさらに白い裾がのぞいている。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/03(火) 02:01:10.87 ID:61yC03xwo
「やっぱり具合がいい」
男のつぶやきが聞こえた。
「ここならちゃんと聞こえるかも」
それからさらにぶつぶつ言いながら手元の何かをいじってはしきりにうなずいた。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/04(水) 21:32:44.07 ID:U9L6kFXRo
その夜、ケイは家を抜け出した。
玄関を通ると母に見つかるので運動靴を履いて部屋の窓からそっと出た。
目指すのはいつもの木材置き場だ。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/04(水) 21:33:16.99 ID:U9L6kFXRo
静かだった。
星はちらちらと瞬いたりゆっくりと位置を変えていったりはするが物音をたてることはない。
無論星の声が聞こえることもない。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/04(水) 21:34:02.03 ID:U9L6kFXRo
ただ、彼女は別に話下手というわけではないらしい。
話しかけられればちゃんと応えるし、その応えぶりもしっかりしている。
不愛想ということも特にはない。
その点がケイと大きく異なる。性質が大きく違うのだ。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/08(日) 21:09:11.92 ID:IECLU4W9o
強くなればいい。
ケイの頭のどこかでそう囁く声がある。
自分を変えることができればもう悩むこともない。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/08(日) 21:09:48.90 ID:IECLU4W9o
つまりはこういうことだ。
自分をよりよく変える上で自分ではなくなってしまった場合それは本当によりよくなったといえるのだろうか、と。
変化するとはどうしても自分ではなくなるということと背中合わせになる。
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