過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:34:20.09 ID:+3BGlNmE0
じりじりと時を過ごす教師が近づく足音を捉えたのは開会の十分前だった。それもひとつではない、複数人のものだ。思わず腰を浮かせた教師が振り返ると同時に扉が開いた。

「……おや、早いね」

そう言って教頭は顔をしかめた。
以下略



185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:35:05.95 ID:+3BGlNmE0
教頭が立ち上がって、厳しい面持ちで会議室の面々を睥睨する校長にこの学校の現状を報告する。
保護者からの突き上げ、教育委員会からの指導通告を哀切悔悟たっぷりに慨嘆する教頭を、校長は右手を挙げて遮った。じろりと教頭を睨んで、重々しく口を開く。

校長「御託はいい。つまり、私の学校は危機的な状況にあるということだな。それで? それは誰の責任だ? 君の管理責任なのではないか? それとも、私のせいだとでも言うつもりか?」

以下略



186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:35:54.92 ID:+3BGlNmE0
そうなんですよ、と追従したのは副担任だった。

副担任「ワタシも何度も言ったんですけどね? あんまりそーいうことすんのはどうなんすかね、って。でも、この人、これは教育だっつって、セクハラとかしちゃったりして、もう、タイヘンだったんスよ」

教頭「そう、そうなんです、そういう悪評が生徒たちに伝わってしまい、このようなことに……! ですので校長先生には責任などあろうはずもありません! 全部、あの男のせいなのです!」
以下略



187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:39:06.26 ID:+3BGlNmE0
なるほどねえ、と教頭を称えるふうの校長に、教頭は恐縮したように頭を下げる。その光景が現実のものとは思えなくて、教師は校長たちとそれを見守る同僚たちを見比べる。

ああ、と校長が思い出したように教師を振り向いた。

校長「ということだが、君はどうだ? 何か言いたいことがあるか?」
以下略



188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:39:54.00 ID:+3BGlNmE0
これが最後の機会だ。ここで退いたら、この学校を救う機会は永遠に失われる。教師は学校にあるべき姿を取り戻さなくてはならない。その一心で言葉を紡ぐ。

教師「責任のなすりつけ合いは今すべきことではありませんし、生徒の暴挙で教員が追放されるという前例を作るのは将来に深い禍根を残します。個別的な生活指導や保護者・生徒との三者面談などが――」

机を強く叩く音が響いた。驚いて目を向けると、満身に力を込めて主任が立ち上がった。眉間に深い皺を刻んだ顔から発される声はいつにも増して金属を擦り合わせたように不快だった。
以下略



189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:40:35.31 ID:+3BGlNmE0
校長「とりあえず、言い分はわかった。彼の教員としての適正が疑わしいこともな。それで、どうだろう。しばらく彼を謹慎させて、様子を見るというのは?」

参加者は校長の名案に拍手で応えた。満面に満足そうな笑みを湛える校長は、そういえば、と教頭を振り返った。

校長「生徒が暴走していると言っても、ちゃんと授業を受けている生徒はいるんだろう? ならその子たちのケアをしっかりしないとな」
以下略



190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:41:20.65 ID:+3BGlNmE0
自分の家に逃げ帰った教師は、玄関の鍵を閉めてようやく息をついた。ずるずるとその場にへたり込む。
どうしてこんなことに、と呻く。なぜだ、と繰り言にように呟いて、茫洋と家の中を見つめて。

ここはどこだろうと思った。

以下略



191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:42:02.03 ID:+3BGlNmE0
ドアノブに手を掛けた、カチャリ、という微かな音が、教師の蓋をしていた感情を呼び起こした。


192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:42:45.81 ID:+3BGlNmE0
脳裏を映像が駆け巡った。(笑う顔、顔、顔――)記憶の彼方から声がする。(こちらを向いて笑う男)奔流のように流れだす記憶が止めどなく(怒鳴る声――“何様のつもりだ!”)視界を走る。映像は次々と場面を変える。(嘲笑う口元、嗤笑、机を叩く音)教師が耳を塞いできたものだ。(“ジャマなんだよ”)目を閉じて見ないふりをしてきた、(目。こちらを見る目。怒り、嘲り、蔑み、憎しみ。瞳に映るのは――)これが教師にとっての全てだった。

(少女のふんわりとした優しい微笑み)

気が付くと、教師は玄関にひざまずいてドアにすがりついていた。身体はがくがくと震えて思うようにならず、か細い息を呼吸を繰返すのがやっとだった。
以下略



193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/09(日) 10:43:30.40 ID:+3BGlNmE0
というところで今回はここまで


194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/11/09(日) 11:44:31.53 ID:XkFP8mLY0
乙です。
朝から更新があって嬉しいです。


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