13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/15(火) 18:37:57.72 ID:eOhLbTZvo
「ミナ!」
ヘレナが呼ぶとミナは「お婆ちゃーん!」と歓声を挙げた。
なあにがお婆ちゃんだ。ヘレナは苦々しく口を歪ませた。
一応は師匠と弟子なのだからもっとふさわしい呼び方があるだろうに。
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2014/07/15(火) 18:38:32.65 ID:eOhLbTZvo
「そんな、やだよー」
ミナはびしょ濡れのまま取りすがってくる。
「絵本よんで。お歌うたって」
孫娘の手の湿り気から退避しながらヘレナは首を振った。
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2014/07/15(火) 18:39:10.75 ID:eOhLbTZvo
視線の高さを少女に合わせてしばし見つめ合う。
「それならよし」
「やったぁ!」
小躍りを始めるミナにヘレナは発破をかけた。
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2014/07/15(火) 18:39:39.82 ID:eOhLbTZvo
それからしばらくはミナも真面目だった。
他のもっと楽しいことに惑わされることなく魔法の訓練、つまりは探し物に専念していた。
……だからといってそれに結果が伴うわけでもなかったが。
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2014/07/15(火) 18:40:11.26 ID:eOhLbTZvo
「探し物はこれじゃあない」
「なんで? きれいなのに」
「綺麗だがこれじゃない」
「お婆ちゃんはこの石嫌い?」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/15(火) 22:01:07.83 ID:eOhLbTZvo
その次の日もそのまた次の日も探し物は見つからなかった。
いよいよヘレナは不安になってきた。
この子には魔女としての資質が皆無なのではなかろうか。
とうとう癇癪を起して探索の放棄を宣言した孫娘(「もうやだー!」)を前に、ヘレナはそんな危惧を抱いた。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/15(火) 22:01:42.81 ID:eOhLbTZvo
魔女は魔法という不思議を味方につける。
なくなったものがあれば『不思議と』分かるし、見つけようと思えば『不思議と』見つかる。
そういうものだ。それが魔女なのだ。
だからそれができないミナは魔女ではない。と、必然的にそうなる。
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2014/07/15(火) 22:02:12.40 ID:eOhLbTZvo
うー。ミナは目の前の憎き偏屈老婆を見上げて唸りをあげた。
十秒ほども睨み合いが続いただろうか、ミナは最後に一声叫んでこちらに背を向けた。
「お婆ちゃんの大馬鹿モニャラミミズーッ!」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/07/16(水) 00:58:11.76 ID:j9ltMIbK0
乙
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/07/16(水) 08:47:10.65 ID:x+JjUjaN0
結局探し物はなんだっけとか思いつつ読み返した
面白かった 乙
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 11:33:40.83 ID:TmyX6+Eao
さて厄介なことになった。
ヘレナがそう思ったのはもちろんミナが出て行ったすぐ後――ではなかった。
夕方になり窓の外がかなり暗くなってもミナが戻っていないのを確かめて、それからようやく事態の重さを認識したのだ。
つまりミナのモニャラなんとかいう罵声から九時間近くが経っていることになる。
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