過去ログ - 先輩「そこから見えるのは、どんな景色ですか?」
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2014/07/16(水) 00:20:12.27 ID:8oJAdiKmo
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大澤の様子がおかしくなりだしたのは、文化祭が終わって二週間が過ぎた頃のことだった。
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2014/07/16(水) 00:21:45.54 ID:8oJAdiKmo
「みさと」が書いたのは絵本のようなほのぼのとした雰囲気の話だ。
特に面白がる要素もないのに気付くと読み終わっていて、さらりとした読後感がある。
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2014/07/16(水) 00:22:28.57 ID:8oJAdiKmo
◇
用事があるから、と、ひなた先輩が部室を出て行った。
残されたのは俺と、「あかね」「みさと」の二人だけだった。
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2014/07/16(水) 00:23:47.31 ID:8oJAdiKmo
文芸部の部員数は七名だ。
俺と大澤、「あかね」と「みさと」、それから部室に顔を出さない幽霊部員の男子二名。
引退したひなた先輩は除外。最後のひとりは、唯一の一年生、女子部員だ。
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2014/07/16(水) 00:24:29.88 ID:8oJAdiKmo
気配でそれを察したのか、彼女は急に振り返って、笑った。
「せんぱい、なにしに来たんですか?」
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2014/07/16(水) 00:25:14.15 ID:8oJAdiKmo
「高いところ、好きなの?」
「穴の中とか、井戸の底とか、低いところよりは好きかもしれないです」
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2014/07/16(水) 00:25:48.01 ID:8oJAdiKmo
「とにかく、俺はもう帰るよ」
これ以上ここに居ても何も話すことはないと思い、俺は屋上をあとにしようとした。
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2014/07/16(水) 00:26:38.63 ID:8oJAdiKmo
「そもそも、今は部長がサボってるし、実質リバーシ部だし」
「あはは」と後輩は笑う。何かをごまかそうとしているみたいに見えた。
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2014/07/16(水) 00:29:25.12 ID:8oJAdiKmo
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彼女が部誌に寄せたのは一本の掌編小説だった。
あるいは小説と呼ぶのは間違いかもしれない。散文詩とでも呼ぶべきかもしれない。
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2014/07/16(水) 00:30:05.42 ID:8oJAdiKmo
彼らは思い思いのことをして遊び、思い思いの相手と関わりあった。
そんななか、「わたし」はあるとき、穴を掘りはじめる。
庭園の隅の方で、理由もなく、白い服を土で汚しながら、ただ延々と。
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2014/07/16(水) 00:31:23.02 ID:8oJAdiKmo
◇
家に帰ると、リビングのソファの上で膝を抱えて、妹がしくしくと泣いていた。
以下略
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