過去ログ - 提督「心から愛しい羽黒に捧ぐ。」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:23:31.76 ID:wQP1bC+Fo
 それからはまさに破竹の勢いであった。

 各々が目を爛々と光らせ、目の前の敵を轟沈させてゆく。

 まるで復讐のようだ。
以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:25:25.27 ID:wQP1bC+Fo
「羽黒!」

 私は大海原の彼方に届くような声で愛しの彼女の名前を呼ぶ。

 ポツポツと浮かぶ島にむけて、喉が壊れそうなほどに声を上げる。
以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:26:48.70 ID:wQP1bC+Fo
 夕日は翳る。

 すでに私の喉はまともに声を出すことは叶わぬほどに消耗し、赤城の艦載機の燃料も底をついた。

 羽黒発見の報告は未だにない。
以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:28:29.01 ID:wQP1bC+Fo
 乱立する草木の茂みを乱暴にかき分け、私は彼女を探す。

 不意に視界の端で草木が音を立てた気がした。

 私はその音に縋るように――奇跡に縋るように走る。
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:30:23.59 ID:wQP1bC+Fo
 ――それからはあっという間だった。

 怒鳴りすぎて声の出ない私は久しく与えられていない休暇を大本営から命じられ、同じく声の出ない第一艦隊の面々、および私の配下の艦娘達も長期の休暇となった。
 
 大破した羽黒は入渠し、その傷と疲れを癒しているのだろう。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:34:04.39 ID:wQP1bC+Fo
 「星条旗よ永遠なれ」、「チャタヌーガ・チューチュー」、「ラ・マルセイエーズ」。私が欲しているレコードは無数にある。

 CDではなく古臭いレコードを収集する私に夕張はあきれていたようだが、黒い円盤を鋭い針が撫でながら音楽を奏でる様はいつみても素晴らしいものだ。

 ……私はとっておきのレコードをかける。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:37:03.96 ID:wQP1bC+Fo
 再び喉飴を噛み潰して私は演習の様子を見つめる。

 軽巡洋艦と駆逐艦で編成された第二艦隊は演習相手の戦艦に真正面からはぶつからず、常に自分たちに有利な陣形を作って攻撃を加えていた。

 ――私にはする事が無い。
以下略



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:38:51.10 ID:wQP1bC+Fo
 やれ困った、と私はまたもや一人ごちる。

 書類も作戦も無いのでは私はただの給料泥棒だ。

 第一艦隊の慰問に行こうにも、きっと彼女たちも山ほどの喉飴を消化しているはずだ。
以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:40:59.74 ID:wQP1bC+Fo
「羽黒はいつ頃出られる?」

 先日より幾分マシになったとはいえ声はまだ耳障りにかすれたまま。
 
 心底申し訳なさそうな声色で私は整備班長に問う。
以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:45:56.12 ID:wQP1bC+Fo
 我々は数多の敵を深海に送り、そして敵も我々の艦隊に手痛い被害を与え駆逐艦、響を海底に没せしめた。

 「殺しているのだから殺されもする」と言っていた私の馴染みの提督は泥とも肉ともつかない「もの」になって死んだ。

 私はその通りだと思う。
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:55:58.90 ID:wQP1bC+Fo
 「お疲れ様、利根。君に知らせがある」

 笑みを浮かべたまま私はそのように言葉をつむぐと、利根はびくりと肩を跳ねさせる。

 どうやら、悪い知らせだとでも思い込んでいるのだろう。
以下略



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