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2014/10/14(火) 00:49:34.36 ID:Sc7juh7n0
「櫻子の癖に、そういうところはよく見てますのね」
ちなつちゃんと歳納先輩が付き合うことになったのが、意外だったらしい。
けれど私は、いつかそうなるんじゃないかと思っていた。
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2014/10/14(火) 00:52:22.44 ID:Sc7juh7n0
「凄いところを見てしまったな」
目の前の、小柄な少女に語りかける。
「…………」
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2014/10/14(火) 00:54:06.54 ID:Sc7juh7n0
――古谷と大室が、キスをしていた。
小鳥のような可愛い接吻ではない。お互いを貪り求め合うような、深い深い口吻だった。
「…………」
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2014/10/14(火) 00:58:56.52 ID:Sc7juh7n0
気が付けば、私の唇は松本に奪われていた。
ただ、数瞬触れ合うだけのキス。ついさっき見たものに比べれば、子どもの遊びのようなものだ。
それなのに、だというのに。
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2014/10/14(火) 01:02:22.59 ID:Sc7juh7n0
いつか破綻するのではないかと、ずっと思っていた。
綾乃ちゃんの思いは、危うすぎる。
ウチは、綾乃ちゃんが好き。性愛としてではない。ウチは杉浦綾乃という人が好き。
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2014/10/14(火) 01:04:57.12 ID:Sc7juh7n0
あの子の純粋すぎる思いは、しかし一方で重すぎる。
綾乃ちゃんの思いは、憧れが強い。いつまでたっても、歳納さんとまともに話すことすらままならない。
勿論彼女は努力をしてきた。成長もしたと思う。
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2014/10/14(火) 01:08:55.24 ID:Sc7juh7n0
「ああ、もうよくわからんが全部歳納が悪い!! 突然吉川と付き合い始めた歳納が悪い!!」
だから、そんな言葉が聞こえてきたときも、ウチは平静を装うことが出来るはずだった。
「え、あ、うそ」
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2014/10/14(火) 01:10:09.48 ID:Sc7juh7n0
「待って、待って綾乃ちゃん!!」
廊下を全力で駆ける。綾乃ちゃんには、思いの外早く追いついた。
「綾乃ちゃん!?」
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2014/10/14(火) 01:11:34.59 ID:Sc7juh7n0
あ、れ?
自分の目元に触れる。そこは確かに、濡れていた。いつの間に涙を流していたのだろうか。
「ありがとう、千歳。私は大丈夫よ」
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2014/10/14(火) 01:14:53.26 ID:Sc7juh7n0
千歳は暫く泣き止んでくれなかった。
廊下に座り込んだまま、私たちはずっと抱き合っていた。よしよしと、千歳の頭を撫でる。
いつもと立場が逆で、なんだか笑ってしまいそうだ。
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2014/10/14(火) 01:17:51.11 ID:Sc7juh7n0
もっと仲良くなれたらな。なんて思う。手を繋ぎたい、触れ合いたい。そう、思う。
キスをしたい、えっちなことをしてみたい。そう、思っているのだろうか。そんなことを考えると顔がみるみるうちに熱を帯びて、何も考えられなくなる。
だからずっと、わからなかった。私が歳納京子をどう思っているのか。歳納京子とどうなりたいのか。
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