過去ログ - 岡崎泰葉「どんな過去であっても」
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1: ◆njLdTg/Bz6[saga]
2015/01/09(金) 20:03:20.32 ID:y6sOBbmQo
うちの事務所の看板作品になりつつある『聖靴学園』シリーズ。
今日はその最新作の撮影初日だった。
休日に私立の学校を貸し切って、いざ撮影スタート。
今作では主演を担当する泰葉であったが、流石と言うべきだろうか。
撮影は滞りなく進んでいき、気が付けばお昼の休憩時間。
スタッフが準備したお弁当を一緒に食べながら、世間話をしていた時のこと。
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 20:32:55.52 ID:y6sOBbmQo
「あ、あのっ!」
少し緊張したような声に、思わず二人で視線を向ける。
3:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 20:44:36.71 ID:y6sOBbmQo
「わ、私……や、泰葉ちゃ……岡崎さんの大ファンで、そのっ……」
今にも舌を噛みそうなくらいあわあわと緊張した女の子の姿。
4:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 20:47:40.89 ID:y6sOBbmQo
「いつも応援ありがとうございます」
そう言って笑顔で握手した後、泰葉は女の子が用意していた色紙にサインをする。
5:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:06:02.35 ID:y6sOBbmQo
とても丁寧にお礼を言って去っていく彼女に、自分の連絡先を渡した。
何となく、プロデューサーとしての直感。
6:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:10:50.29 ID:y6sOBbmQo
「そういえば、実は俺もエキストラをやったことがあるんだけど」
その言葉は思いの外、驚きを与えたらしく。
7:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:45:48.37 ID:y6sOBbmQo
「こ、こほん……。それで、プロデューサーにはエキストラ経験があるんですか?」
暫くして、あからさまな程にわざとらしい咳をして、話題転換を図る泰葉。
8:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:50:50.28 ID:y6sOBbmQo
「そんなの滅多にあることじゃないから、舞い上がった母親に無理矢理連れて行かれて……」
さほど気の進まなかった自分を、半ば強引に引っ張っていく母の姿を思い出す。
9:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:51:29.80 ID:y6sOBbmQo
そこまで話して、ふと思う。
ジュニアモデルと、子供時代のエキストラ経験。
10:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:52:51.69 ID:y6sOBbmQo
「……監督が?」
泰葉が続きを促すように俺の言葉を繰り返す。
11:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:53:46.64 ID:y6sOBbmQo
「今の俺が『わぁ、すごい……』なんて目を輝かせてきょろきょろしてたらおかしいけど」
仕事柄、今の自分にとっては撮影現場なんて最早珍しい訳でも何でもない。
12:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:55:08.16 ID:y6sOBbmQo
それはつまり、あれだろうか。
――子供のようなきらきらした瞳で撮影現場を眺めて、楽しそうにはしゃぐ大人になった今の自分。
13:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 21:58:22.90 ID:y6sOBbmQo
「『坊や、そんなに興味があるなら君も出てみるかい?』」
そんな感じだったはずだ。
14:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:00:55.77 ID:y6sOBbmQo
勿論、何か台詞があったりする訳でもなければ、物語に絡む訳でもない。
文字通りのエキストラ。先程の女の子と一緒で、あくまでも背景として存在するだけ。
15:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:01:42.16 ID:y6sOBbmQo
「もしかして――」
話を聞き終えた泰葉は、ふと何かを思いついたような顔をする。
16:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:02:51.60 ID:y6sOBbmQo
この仕事を選んだのは、たまたま今の事務所の社長に声を掛けられたから。
本格的に就活シーズンが始まる少し前の時期。
17:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:10:15.73 ID:y6sOBbmQo
「そうですか……。もしそうだったら、ちょっと良い話だな、って思ったんですけど」
泰葉の表情は少し残念そうだった。
18:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:11:39.80 ID:y6sOBbmQo
仕事を終えて、自宅に帰る。
シャワーを浴びて、一人で晩御飯を食べて。
19:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:18:27.39 ID:y6sOBbmQo
懐かしいな、と思いながら捲っていく。
最初は件の写真を真っ先に探そうと思ったのが、やはりアルバムと言うものにはそういう魔力があるらしく。
20:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:21:05.48 ID:y6sOBbmQo
「これ、は……」
おかっぱ頭の、小学校にもまだ入っていないだろう年頃の幼い女の子。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/01/09(金) 22:23:40.12 ID:y6sOBbmQo
壁掛け時計を見る。
アルバムを見始めてからそれなりに時間が経っていたけれど、まだ遅い時間と言う訳ではない。
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