1: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:23:28.66 ID:+AkwQ9aA0
貴方を待ち続けて何度目かの春頃。
1人で迎える季節の変わり目は、何だか味気なくもあります。
あの頃私達は、花咲く道を共に散歩しましたね。
一緒に歩く時貴方の定位置だった私の右側は、今もまだ空けてあります。
訪問者のない家は、貴方を迎える為にいつも綺麗にしています。
貴方の為、貴方を待つ――それが今の私の原動力になっています。
だけど私、決して早く来てとは言いません。
貴方のやるべき事を全て終わらせて、やり残したことが無くなった時に――
僧侶「あらー、もうこんな時間なんだー」
私は時に急かされず、ゆっくり貴方を待ち続けます。
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2: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:23:46.07 ID:+AkwQ9aA0
魔王が勇者に討たれて半年――
人間による魔王軍の残党狩りは勢いを増していた。
魔人「グ…」
3: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:24:12.18 ID:+AkwQ9aA0
僧侶「…」ガサッ
魔人(ん?)
姿を現したのは追っ手とは思えないような、少し薄汚れた、儚げな女だった。
4: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:24:40.81 ID:+AkwQ9aA0
僧侶「ちょっと待って下さいねー」ビリリ
女は自分の服の袖を破くと、俺の腹の傷口にあて、強めに圧迫した。
僧侶「応急処置できましたよー。うちに来て下さったらちゃんと治療できますけど…」
5: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:25:07.15 ID:+AkwQ9aA0
僧侶「うーん、でも貴方が警戒するなら仕方ないですねー」
女は「よっと」と重そうに腰を上げて立ち上がる。
僧侶「まぁ気が向いたら来て下さい。この近くに住んでいます」
6: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:25:40.38 ID:+AkwQ9aA0
女の家は人間達の社会から隔離されたような森の中に、ポツンと存在していた。
僧侶「散らかっててすみませんねー。そこに座ってて下さい」
女は物に伝い歩きしながら、治療道具らしきものを持ってきた。
7: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:26:12.79 ID:+AkwQ9aA0
魔人「かもしれねぇ、つってんだよ!どうだ、助けたこと後悔したか!?」
僧侶「食べるんですか」
さっきと同じ調子で言う。この女は本当に…。
8: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:26:46.89 ID:+AkwQ9aA0
魔人(…あの女、俺のことナメてんのか?それともただのバカか?)
食事を待ちながら色々考える。
俺はこれでも魔王軍の暴れん坊、鮮血の魔人と呼ばれた男だ。それがこうして、あんなボケっとした女に助けられたなんて…あぁ、口が裂けても昔の仲間にゃ言えやしねェ。
つっても昔の仲間も大分狩られたと聞く。俺は仲間意識が薄い方だったから、そんな噂耳に入っても特に何とも思わなかったが。
9: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:27:12.88 ID:+AkwQ9aA0
僧侶「昨日作り置きしてたスープは美味しかったので、それ温めてきますね」
返事するより前に女はのっそり立ち上がり部屋を出て行く。
腹が減ってるのであまり待ちたくはなかったが、この不味い飯で我慢するのはもっと嫌だ。
10: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:27:45.11 ID:+AkwQ9aA0
魔人(ったく何で俺が…)フキフキ
僧侶「綺麗になりましたねー。ありがとうございました」
魔人「…いつもこんなに鈍臭いのか?」
11: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:28:21.70 ID:+AkwQ9aA0
ひどく疲れた後は腹が減り、出されたスープを一気に平らげた。味はまぁ、悪くはなかった。
僧侶「あら、後片付けくらい私がやりますよ」
魔人「いや、いい…自分のことくらい自分でやる」カチャカチャ
12: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/06(金) 20:29:03.07 ID:+AkwQ9aA0
今日はここまで。
僧侶のペースが作者とも合わないんで書くのが大変…。
ゆっくり書き進めます。
13:名無しNIPPER[sage]
2015/02/06(金) 21:37:07.11 ID:V7B3uqy5O
何か久し振りに遭遇した
14:名無しNIPPER[sage]
2015/02/06(金) 22:45:37.57 ID:3exyMC9kO
乙
15:名無しNIPPER[sage]
2015/02/07(土) 00:11:37.75 ID:6SXiJqfTO
期待
16:名無しNIPPER[sage]
2015/02/07(土) 04:15:10.53 ID:A9QlIqvAO
おつー
17:名無しNIPPER[sage]
2015/02/07(土) 08:55:54.16 ID:st/nWCa7O
乙です
期待してる
18: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/07(土) 17:24:08.26 ID:4u3It7xH0
夢を見た。
暗黒騎士「お前には反吐が出る」
魔人「うっせーんだよテメェは」
19: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/07(土) 17:24:47.33 ID:4u3It7xH0
>翌日
魔人「ん…!」
人の気配にガバッと起き上がる。と同時に、急に起き上がったことで腹に痛みが走った。
20: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/07(土) 17:25:14.21 ID:4u3It7xH0
魔人「…ん?」
少ししてから、部屋の向こうから人の話し声が聞こえて起きた。
聞こえる声は3つ。1つは女のものでいつも通りぽやっとしているが、残り2つの声はやや興奮気味だ。
何事かとドアを少しだけ開けて様子を覗いてみた。
21: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/07(土) 17:25:45.24 ID:4u3It7xH0
魔人「…お前、やっぱおかしい奴だな」
僧侶「何がです?」
魔人「俺は元々魔王軍にいたんだぞ。人間も沢山殺している。俺は治ればまた人間を殺すかもしれねぇぞ」
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