20:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:36:20.95 ID:zW0LuoBg0
ゆっくりと開くドア、その錆びた高音は私の奥の方に響いてきた。
彼が部屋の中に入るのを見て、私もその後ろに隠れるようにしながら恐る恐る続く。
無言で入るのは少し変な気がしたから、部屋に入る前に一言だけ「ただいま」と一言呟いてみたけれど、ドアの向こうには勿論誰もいない。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:37:31.25 ID:zW0LuoBg0
「お、ソファーも残ってるんだな……これでよく仮眠とかとってたっけ」
彼がソファーに座ると部屋に埃がまった、吸ってしまったのか少し咳き込んでいて、心配になる。
22:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:39:34.45 ID:zW0LuoBg0
小さな私の部屋の中、目を瞑り昔のことを思い出していたら、すぐ側でガタガタと音がして私は今に引き戻される。
目を開けてみると親友が椅子に座っていた。顔は見えなかったけれど、くつくつと笑い声が聞こえる。
なんで笑ってるんだ? ……まぁいいか。
23:名無しNIPPER[sage]
2015/02/23(月) 15:40:11.89 ID:0DZYxybNo
支援
24:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:43:28.61 ID:zW0LuoBg0
「しかし懐かしいな、本当に……ここには俺とお前がいつもいて、隣の机にはちひろさんがいた」
そう、そしてその机の下には隣人がいて、他に空いていた何個かの机には皆の私物が入れてあったり、台本やプリントが散らかってたり。
25:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:46:27.92 ID:zW0LuoBg0
「ごめんな」
「……なんで、なんで、謝る?」
26:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:49:32.29 ID:zW0LuoBg0
今更になって後悔する。何で私はここに来たいなんて思ってしまったんだろうか。
何もかもが終わってしまったこの場所に。
ここにはもう、なくしたものしかなかったはずなのに。
27:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:50:34.69 ID:zW0LuoBg0
「なぁ輝子、俺はさ、ここに来れてよかったんだ」
嘘だ。
28:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:52:59.79 ID:zW0LuoBg0
「でもさ、確認出来たんだ……終わらなかったものもあるんだよ」
「……お、終わらなかった、もの?」
29:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:00:05.79 ID:zW0LuoBg0
「昔も、こんな感じだったな」
手を差し伸べたまま、彼が言葉を紡ぐ。
30:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 16:05:14.95 ID:zW0LuoBg0
「皆は、ここで活動出来たことは自分の糧になってくれたって、そう言ってくれる」
「でも俺は怖かった、ずっとずっと怖かった、だから今のあいつらと会いたくなかったし、会わなかった」
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