1: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:14:09.46 ID:HgFLdlguo
子どものころ、よく、三人で本を読みました。
穂乃果ちゃんは、愉快な話が好きでした。
海未ちゃんは、勇敢な話が好きでした。
わたしは、恋の話が好きでした。
おませさんな子だったのです。
―――――――――――
ことり「うみちゃん、このおはなし、よんで!」
海未 「ことりのほうが、よむの、じょうずじゃないですか」
ことり「このおはなしは、カッコいいうみちゃんがよむのがいいの!
ほのかちゃんも、そうおもうよね?
……あ、ほのかちゃん、ねてる。
いつも、このおはなしをするときには、ねちゃうんだね」
海未 「ほのかには、まだ、こいのはなしは、たいくつみたいですね」
ことり「うみちゃんも、たいくつ?
ことり、わがままかな?」
海未 「いいえ。
ハレンチなおはなしはこまりますけど、
このおはなしは、ハレンチなところがないから、すきです」
ことり「じゃあ、よんで!
ことりのおねがーい」
海未 「ことりに、そういわれると、ことわれないですね。
それじゃあ、よみますよ。
『白いアネモネ』」
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2: ◆U3O2l/Lem6[sagasage]
2015/03/01(日) 05:16:23.95 ID:HgFLdlguo
お話の中に出てくるのは、白いアネモネと、アポロという蝶々。
白いアネモネは、美しいアポロのことが好きでした。
だから、アポロが自分の蜜を吸いにくるたびに、こう尋ねるのです。
「あたしがあなたを好きなように、あなたはあたしが好きでしょう?」
3: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:19:07.62 ID:HgFLdlguo
幼い海未ちゃんと私は、穂乃果ちゃんが起きるのを待つあいだ、よく、アネモネごっこをしました。
アポロ役は海未ちゃん。
アネモネ役は、わたし。
ことり「ねえ、アポロさん」
4: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:20:13.91 ID:HgFLdlguo
【放課後、音ノ木坂学院、部室】
ことり「ねえ海未ちゃん、またあれやって、あれ!」
海未 「いや、勘弁してくださいよ……
5: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:21:20.50 ID:HgFLdlguo
ことり「ねえ、アポロさん」
海未 「何かな、アネモネちゃん」
ことり「あたしがあなたを好きなように、あなたはあたしが好きでしょう?」
6: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:22:04.44 ID:HgFLdlguo
海未 「わああ、絵里!
今のは、違うんです、これは……」
ことり「え? 違うの?
海未ちゃん、お芝居じゃないって言ってくれたじゃない!
7: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:23:17.77 ID:HgFLdlguo
穂乃果「こんちは!
海未ちゃん、ことりちゃん、そろそろ帰ろうよ!」
絵里 「あ、穂乃果、ちょうどいいところに来てくれたわ。
今、あなたの幼なじみの二人が、神聖なるミューズのおわします部室でチワゲンカを……」
8: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:24:37.59 ID:HgFLdlguo
【その日の帰り道】
穂乃果「ねえねえ、ことりちゃん。
この前貸してくれた少女漫画、読んでみたんだけど、まだ私にはよく分からないよ。
恋って、何?」
9: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:25:37.94 ID:HgFLdlguo
穂乃果「子どものころ、何度聞いても眠くなった話だ……
ねえ海未ちゃん、そろそろ私にも理解できると思うから、お話ししてほしいな!」
ことり「わたしも、また昔みたいに、聞きたいな!」
10: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:26:35.59 ID:HgFLdlguo
穂乃果「なるほど、そんなお話だったのか。
今あらためて聞くと、とてもガンチクぶかい話のような気がするよ。
ねえねえ海未ちゃん、ことりちゃん。
このお話は、恋のお話なの?」
11: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:28:27.66 ID:HgFLdlguo
穂乃果「うーん、なかなか難しいんだね。
それで、アポロくんがイエスと言ってくれれば、恋が叶うわけだね。
じゃあ、アポロくんがノーと言うときには、恋が失われるのかな?」
ことり「うん、失恋というくらいだから、恋心が失われることもあるかもね。
12: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:29:20.63 ID:HgFLdlguo
すると、海未ちゃんが、誰に尋ねるともなく、言いました。
海未 「叶わなかった恋心は、どうなるんでしょうね。
行き場のない胸の焦がれは、どうなるんでしょうね」
13: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:30:42.81 ID:HgFLdlguo
【その日の夜、南家、居間】
理事長「ことり、この前の話、ちゃんと考えてくれてる?」
ことり「うん。お母さん。
14: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:32:04.27 ID:HgFLdlguo
【数日後、穂乃果の家】
穂乃果「ようこそ、みなさん!
さあ、あがってあがって!」
15: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:33:00.83 ID:HgFLdlguo
そんなわけで、私たちは、DVD鑑賞会を始めました。
凛ちゃんと穂乃果ちゃんは、映画が始まるとすぐ、ふたり仲良く寝てしましました。
真姫ちゃんと希ちゃんとにこちゃんは、一歩下がって、ほむまんを食べながら、映画を鑑賞しています。
にこ 「あいつら、何してるのよ」
16: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:34:31.35 ID:HgFLdlguo
絵里 「ほら、海未。
目を逸らさずに、よく見て。
画面の端に見えるあの二つの山は、きっと、おっぱ……」
海未 「ひいい!」
17: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:36:16.25 ID:HgFLdlguo
帰り際、玄関の前で、わたしは穂乃果ちゃんと言葉を交わしました。
ことり「穂乃果ちゃん、今日はありがとう!
ねえ穂乃果ちゃん、今日の恋愛映画、面白かった?」
18: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:38:12.67 ID:HgFLdlguo
【その日の帰り道】
ことり「ねえねえ、海未ちゃん」
海未 「何ですか、ことり」
19: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:39:08.67 ID:HgFLdlguo
【数日後の放課後、音楽室】
海未 「どうしたんですか、ことり。
練習が終わったあとに、音楽室に呼び出したりして」
20: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:40:05.93 ID:HgFLdlguo
そして真姫ちゃんが、きれいな曲を、ピアノで聴かせてくれました。
そして、外国の言葉で、きれいな歌を歌ってくれました。
ことり「ありがとう、真姫ちゃん。
これは、何ていう曲なのかな?」
21: ◆U3O2l/Lem6[saga]
2015/03/01(日) 05:41:07.22 ID:HgFLdlguo
海未 「えーと、ちょっと倒錯的なところもありますけど……
これは、失恋についての歌なのですね」
穂乃果「失恋というのは、要するに、踏まれる喜びなの?
失恋した詩人は、ヘンタイさんと紙一重なの?
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