過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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794: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:48:59.62 ID:A0S2go5Qo
誠子「大星……お前、そんなことをするやつだとは思わなかったよ」

 咲の痛みを理解し境遇を同じくする誠子が非難する。人の道を外れた行いに失望をあらわにし、畜生道に落ちた罪人を見るかのようなまなざしで淡を見やる。明華も何か言いたそうにしているが、持てるものが心に届く言葉を口にする困難を悟ってかいたたまれなさそうに傍観し、遠巻きにずっと観察していた咏はこっそり爆笑していた。

淡「あー……な、なるほどね」
以下略



795: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:49:45.91 ID:A0S2go5Qo
 ……後ろから、もめるような話し声が聞こえてくる。バタバタと駆ける足音。

淡「サキっ、今度の私は一味違うよ!」

 まもなくして、明華と並び歩いている咲の前に後方から走って追い抜いてきた淡が躍り出る。
以下略



796: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:50:54.56 ID:A0S2go5Qo
淡「――ねっ、どう?」

 だから――甘い言葉で惑わさないでほしい。大切なものを犠牲にするかもしれない夢を見させないで。

咲「なんなんですか……なんなんですか、あなた……」
以下略



797: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:52:28.02 ID:A0S2go5Qo
淡「ふうー、生き返るー」

 全面ガラス張りの窓に面した席で、咲は居心地悪そうに座りながら対面の淡を見つめる。彼女は届いた飲み物を赤いストローを介しおいしそうに喉を鳴らして飲み、たった今試験から解放されたような顔でのん気に感想を漏らす。

咲「…………」
以下略



798: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:53:23.89 ID:A0S2go5Qo
淡「今の言葉、テルーに言っとくね! サキが言ってたって話したらきっと効果あると思うんだー」

咲「ええと……、どうぞ?」

 波濤の勢いで進められていく話に押され気味に返す。話が変に伝わってややこしいことにならないか。そういった心配が瞬間的に脳裏をよぎるが、今の咲にはここに来るまでの間に肝を潰した分の落差に対する戸惑いが勝り何もできないでいる。――そう、咲は困惑していた。
以下略



799: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:54:31.58 ID:A0S2go5Qo
智葉「その電話は私がとったんだがな、『取り立てて用事ではないので大丈夫。折り返しの電話もいらない』そうだ」

咲「そう……なんですか?」

智葉「ああ、だからこちらも特に気にせずゆっくりしてきていい――」
以下略



800: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:55:16.71 ID:A0S2go5Qo
咲「でもお願いがあります。私との話が終わったら、すぐに会場の方に戻ってくれませんか」

 淡の瞳を見つめて、真摯な態度で頼む。くりっとした淡のそれが、予期しないものに遭遇したようにパチパチと瞬いた。

淡「……いーよ。でも、私が満足しなきゃ終わらせないからね?」
以下略



801: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:56:09.68 ID:A0S2go5Qo
『話にはね、イントロとサビがあるのだ』

咲『おうたの?』

『そっ。わたしは何かを説明するときになるべく「たとえ話」を使うようにしてるんだ。帰納法的っていうか、実例を使って質問に答えるなら例話法とか立体論法ってやつ』
以下略



802: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:57:45.78 ID:A0S2go5Qo
『実はわたし中小の企業と関わりがあるんだけど、なんとなく高尾山が中小企業を応援してくれてるみたいに感じられて、すっかりうれしくなっちゃってねー』

『この話を聞いてから「いいことを知ったぞ。どこかでこの知識を披露したいなあ」ってウズウズしてた』

『だから、友だちが「高尾山に登った」って話を聞いて、すぐに「しってる? 高尾山って世界一の山なんだよ」ってうんちくを語りたくなっちゃった』
以下略



803: ◆JzBFpWM762
2015/11/24(火) 19:59:23.74 ID:A0S2go5Qo
三十分ほど席を外します


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